彼女に聞かれて逃げていたこと
玄関で彼女に「私以外も来るの?」と聞かれたとき、最初は「そういうことじゃない」と返そうとしました。でも、その言葉だけでは彼女の不安をさらに置き去りにすると分かりました。
「まだ誰にも付き合ってるって言えてなくて」と言うと、彼女は「私は知られたら困る人なの?」と聞きました。その問いに、僕はすぐ答えられませんでした。困るのは彼女の存在ではなく、説明しなければならない自分のほうでした。
「自分を守ってただけだと思う」と口にした瞬間、自分でもはっとしました。ああ、そうか、とすぐに分かりました。忘れ物を防ぐためなんかじゃない。彼女が僕の生活に残ることを、僕自身がまだ受け止めきれていなかっただけでした。
そして...
彼女はその日、歯ブラシを持ち帰りました。帰り際に「次に来たときは、置くかどうか2人で決めたい」と言われました。その一言で、僕が勝手に決めていたことの多さに気づきました。
次に彼女が来たとき、僕は新しい歯ブラシを洗面台の端に置きました。それだけで不安が消えるわけではありません。彼女を安心させるには、部屋に物を置くことより、僕自身が関係から逃げないことのほうが大事なのだと思います。
歯ブラシ1本を、もう袋にしまわない。小さなことですが、僕にとっては彼女を生活の外に出さないための最初の約束でした。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
