短い返事で、理由が遠くなった
その日から、朝のコーヒーの時間が少し気まずくなりました。彼は何も変わらない様子で青いカップを手に取り、私は来客用の棚から白いカップを下ろしました。たったそれだけの動作なのに、自分だけ別の場所から借りているような気持ちになりました。
彼に悪気がない可能性もありました。けれど、理由を言わずに「そのほうがいい」と決められたことで、私は自分の物の置き場所まで彼の判断に任せているように思えてきました。
もう一度聞こうとしても、うまく切り出せませんでした。カップの話なのに、その奥にある「私はこの家の人なの?」という不安まで出てきそうで、怖かったのです。
そして...
その日は、カップを元の棚へ戻しませんでした。ただ、来客用の棚に置かれた理由を聞かないまま、自分の居場所まで決めてしまうのはやめたいと思いました。
翌日、私はもう一度彼に聞きました。「お客さん用の棚にあると、私までお客さんみたいに見える」と伝えると、彼は驚いた顔をしました。そして、カップの取っ手に小さな欠けを見つけたこと、いつもの棚だとぶつかって割れそうだったことを話してくれました。
理由を聞いて、安心した部分はあります。それでも、先に言ってほしかった気持ちは残りました。大切に扱ってくれていたとしても、説明がなければ遠ざけられたように見えてしまうことがあります。これからは、棚の場所も、気持ちの置き場所も、2人で決めていきたいと思いました。
(20代女性・事務職)
本人記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
