
過激な思想を持っていたり、権威に服従する人は、残念ながら少なくありません。
では、過激思想や権威主義に流されやすい人には、どんな特徴があるのでしょうか?
近年の研究によると、過激思想や権威主義の影響を受けやすい人には、共通する思考的傾向があると示されています。
それは「認知的硬直性」です。
これは変化や不確実性に直面したとき、考え方を柔軟に切り替えることができない傾向のことです。
では、認知的硬直性をもつ人の特徴や、過激思想・権威主義に流されないための思考法などについて見てみましょう。
目次
- 「認知的硬直性」をもつ人の特徴とは?
- 変化を嫌う人が求めてしまう危険な思想
- 過激思想に流されないための「思考法」
「認知的硬直性」をもつ人の特徴とは?
長いあいだ、心理学では「人は状況に強く左右される」と考えられてきました。
強い圧力がかかる環境に置かれれば、普通の人でも権威に従い、多数派に同調し、ときには残酷な行動さえ取ってしまうという見方です。
この考え方には重要な意味があります。
人間は、自分が思っているほど独立した存在ではなく、周囲の空気、集団の同調圧力、権力者の指示、社会不安などによって行動を変えてしまうことがあるからです。
実際、過激化について語るときにも、貧困、孤立、不安、ネット上の閉じたコミュニティ、社会的な不満といった「状況」がよく取り上げられます。
もちろん、これらの要因は無視できません。
しかし、同じ状況に置かれたすべての人が、同じように過激な思想へ進むわけではありません。
ある人は強い圧力の中で流されますが、別の人は踏みとどまります。
ある人は権力者の言葉を疑わずに受け入れますが、別の人は「本当にそうなのか」と距離を取ります。
この違いを考えると、過激思想や権威主義を「状況のせい」だけで説明するのは不十分です。
重要なのは、外側の環境に加えて、人の内側にある思考スタイルです。
特に注目されているのが「認知的硬直性」です。
これは、
・新しい情報が出てきても考えを変えにくい
・自分とは違う意見を受け入れない、
・今までのルールが通用しなくなっても同じやり方を続けてしまう
・曖昧さや不確実性を嫌う
といった傾向を指します。
過激主義や権威主義に流されやすい人は、必ずしも知識が足りない人ではありません。
むしろ問題は、情報の量ではなく、情報の受け止め方にある可能性があります。
自分の信じる枠組みに合うものだけを受け入れ、合わないものを拒絶する思考が強いほど、硬い思想に引き寄せられやすくなるのです。
変化を嫌う人が求めてしまう危険な思想
認知的硬直性を理解するうえで分かりやすいのが、「カード分類課題」のような心理テストです。
この課題では、参加者はカードを色や形などのルールに従って分類します。
最初は「赤いカードは赤いカードに合わせる」というように、色で分類すると正解になります。
参加者はそのルールを覚え、うまく得点できるようになります。
ところが途中で、本人には知らされないままルールが変わります。
今度は色ではなく、形で合わせなければ正解にならないのです。
このとき、柔軟な思考を持つ人は、古いルールが通用しなくなったことに気づきます。
そして、試行錯誤しながら新しいルールを探します。
一方で、認知的に硬直した人は、古いルールが間違っている証拠が出ていても、同じやり方を繰り返しがちです。
つまり、現実が変わっているのに、頭の中のルールを変えることが苦手なのです。
これは単なるゲーム上の癖に見えるかもしれません。
しかし研究では、このような認知的硬直性を示す人ほど、独断的で、権威主義的で、イデオロギー的な暴力にも賛同しやすい傾向があるとされています。
極端な思想は、多くの場合、世界を単純に説明してくれます。
「正しい側」と「間違った側」をはっきり分け、複雑な問題に明確な答えを与え、誰に従えばよいかを示してくれます。
曖昧さや変化が苦手な心にとって、こうした思想は強い安心感をもたらします。
不確実な世界の中で、「これだけを信じておけばいい」という硬い枠組みは、魅力的に見えてしまうのです。
そのため、認知的に硬直した人は、変化の多い現実を柔軟に受け止めるよりも、変わらないルール、絶対的な正しさ、強い指導者、明確な敵味方の構図に惹かれやすくなる可能性があります。
過激主義や権威主義は、そのような心にとって、混乱を整理してくれる「わかりやすい地図」のように働くのです。

