聞かれてやっと話したこと
皿を洗っていると、彼女に聞かれました。「どうして写真ばっかり撮るの。一度もおいしいって言ってくれないのに」
責められて当然でした。俺は蛇口を止めて、「自分でも作れるようになりたくて」と話しました。彼女が疲れている日に、自分が作って待っていたかったことも伝えました。
話しながら、自分がどれだけ言葉を省いていたか分かりました。料理を覚えたいなら、先に理由を言えばよかったのです。写真を撮ることが、彼女への感謝の代わりになるはずがありませんでした。
そして...
彼女が体調を崩したとき、撮った写真を見ながら肉じゃがを作りました。じゃがいもは崩れて、味も彼女のものとは違いました。それでも、彼女は食べてくれました。
そのとき俺は、やっと「いつもおいしいと思ってる」と言いました。今まで言えなかったぶん、上手な言い方にはなりませんでした。でも、写真より先に伝えるべきことでした。
今は、食卓で感想を口にするようにしています。まだ短い言葉ばかりです。それでも、料理を覚えることより前に、彼女が作ってくれた時間へ返す言葉を忘れないようにしたいです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
