仲間とともに空を飛ぶ! 共闘感が熱いドラマ体験
シチュエーションに合わせて的確なアクションを繰り出し、ステージを攻略していく。これだけでもアクションゲームとして十分に面白く、満足度の高い体験なのだが、その楽しさをさらに底上げしてくれるのが「仲間」の存在だ。本作ではステージ間のムービーだけでなく、戦闘中にも画面下部で敵や味方からの通信が頻繁に入り、ドラマチックな展開を演出してくれる。
しかもこの通信は、単なる背景の演出ではなくゲームの進行に直接関わってくる。たとえば、味方から「敵から攻撃を受けていてピンチ!」と通信が入った場合、彼らは実際に敵から攻撃されている。放っておけばダメージを受け、最悪の場合は撃墜されて戦線離脱してしまう(自機が近づいて助けることも可能だ)。「テキストのセリフを読んで終わり」ではないため、「スターフォックスのリーダーとして、仲間とともに戦線に立っている」という没入感が非常に高まる。
もちろん、この感覚はオリジナル版からの持ち味ではある。しかし、リメイクによってグラフィックや演出のクオリティが大幅に向上したことで、その臨場感はさらに強烈なものになっていると感じた。
タイパ抜群の濃密な体験! 次回作ではマルチプレイの充実にも期待したい
ところで本作は、ゲーム全体の1周あたりのプレイ時間が短い。全16ステージが存在するが、ルート分岐があるため1回のクリアまでに経由するステージ数は7つ。およそ1時間程度でエンディングに到達できる。
これを「ボリューム不足」とネガティブに捉える人もいるかもしれない。しかし筆者としては、このプレイ時間こそが忙しい現代にマッチしているとポジティブに受け取った。つまり、いわゆる「タイパ(タイムパフォーマンス)」が抜群に良いのだ。
どっぷり100時間遊べる大作ゲームなども魅力的だが、それにかかりきりになると他のゲームが遊べなくなってしまうのは少しもったいない。また、大作ゆえに「移動だけの時間」や「お金・経験値稼ぎの作業時間」が含まれることも少なくない。
それならば、無駄を削ぎ落として「純粋な楽しさ」だけが1時間にギュッと濃縮されている本作は、非常に魅力的だ。ハイスコアを狙ったり、まだ見ぬ分岐ルートを探したりと、濃密な1時間のプレイを何度も繰り返す設計になっているため、気づけば長期間熱中してしまう。
結果的に同じ100時間をプレイするにしても、楽しさの「密度」が違うと感じた。
ただ、少しだけ残念だったのが、今回のリメイクで追加された新要素「バトルモード」だ。これは360度自由移動できる空間で4vs4のチーム対戦を行う、マルチプレイを前提としたモードである。ソロプレイで磨いたアーウィンのアクション、操縦テクニックを活かして、協力や対戦ができるのは間違いなく面白い。
しかし、選べるステージが3つしかなく、機体や武器のカスタマイズ要素もないため、協力×対戦を極めて深く遊び込むには少し物足りなさを感じてしまった。
もともとがソロプレイ中心のゲームなのでオマケ要素と言えばそれまでなのだが、アクションの土台が素晴らしいだけに「もっと遊びたかった」と惜しく感じてしまう。
とはいえ、久しぶりに『スターフォックス』が最新ハードでリリースされたという事実そのものが、今後のシリーズ展開への期待を大きく膨らませてくれる。シリーズのファンとしては、次はぜひ完全新作を遊んでみたいし、そこにはやり込みがいのある奥深いマルチプレイモードも用意してほしいと願っている。
それまでは、この美しく蘇った名作を心ゆくまで遊び尽くして待つとしよう。
(文/田中一広)
(執筆者: ガジェ通ゲーム班)
