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「世代論」で読むプロ野球〈ハンカチ世代〉(1)あまりにも豪華な黄金世代

「世代論」で読むプロ野球〈ハンカチ世代〉(1)あまりにも豪華な黄金世代

 夏の甲子園地方大会が始まった今、野球ファンが思い出すのは「○○世代」として共に闘った男たちの群像劇だ。選手個人でなく世代単位の物語として捉えれば、球界の栄光と黄昏、無情な世代交代の構造史が浮かび上がる──。野球論考のベストセラー著者ゴジキ氏、アサ芸初登場!

 野球ファンの記憶に残る世代には、象徴的な原風景がある。「松坂世代」なら横浜高校の春夏連覇、「KK世代」ならPL学園の甲子園──。では、1988年度生まれの「ハンカチ世代」は何だったか。言うまでもなく、2006年夏の甲子園決勝である。

 早稲田実業の斎藤佑樹と、駒大苫小牧の田中将大。延長15回引き分け、翌日の再試合。再試合の9回2死、マウンドに斎藤、打席に田中という、漫画の世界を超越するような形で、脚本家が書いたら「やりすぎ」と怒られそうな場面まで用意された。あの夏、「ハンカチ王子」という言葉は社会現象になり、同じ学年の選手たちはまとめて「ハンカチ世代」と呼ばれるようになった。

 ただ、皮肉なことに、この世代の本当のすごさは、斎藤佑樹という眩しい入り口だけでは測れなかった。プロとしての歳月を経るほど、主役は次々と増殖していった。田中将大(巨人)、前田健太(楽天)、大野雄大(中日)、澤村拓一(元ロッテ)、吉川光夫(元日本ハム)、坂本勇人(巨人)、柳田悠岐(ソフトバンク)、秋山翔吾(広島)、宮﨑敏郎(DeNA)‥‥投げても打っても、各球団の顔がいる。

 しかも彼らは「一時代の話題性」で終わらなかった。10年代のNPBとMLBをまたいで、彼らは数字でも物語でも、球界のど真ん中に立ち続けた。

 今なお世代間の現役としての意識は高い。シーズン前に前田は、

「みんなで切磋琢磨して球界を盛り上げていきたいという思いで頑張ってきている。徐々に世代交代も進んできて人数も減ってきているんで、残っているメンバーみんなで頑張ろうと話している。ライバルというよりどっちかというと仲間意識が今は強くなっているので、あいつよりいい成績残してやろうとか勝ってやろうというよりも、みんなでいい成績を残していこうと。徐々におじさんになってトゲが取れてきたので、そういう思いで最後みんなで頑張りたい」(「スポーツ報知」25年1月10日付)

 とコメントを残した。

 この世代が特別なのは、スターが多いからだけではない。投手にも野手にも、球史級の選手が同時に存在したことだ。「近年最高の黄金世代」とまで言われているのだから、ファンの印象論だけではない。数字から見ても、88年組は“ほぼ反則”みたいな世代だったのである。

ゴジキ:野球評論家・著作家。著書に「データで読む甲子園の怪物たち」(集英社新書)と「マネジメント術で読むプロ野球監督論」(光文社新書)ほか。7月16日に「システムで読む甲子園」(カンゼン)が発売予定。Yahoo! ニュース エキスパート。

配信元: アサ芸プラス

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