近年、学校の水泳授業で使われる水着が多様化している。ラッシュガードの着用を認めたり、セパレートタイプの水着を導入したりする学校も増える一方で、いまも「黒か紺」「華美でないもの」といった色や形のルールは残る。
「今年もまた、ラッシュガードを買うことになりました」――あるX投稿が反響を呼んでいる。投稿したのは、東京都議会議員で3人の子どもの母親でもある高橋まきこ氏。本人に投稿の背景と、学校の水着を取り巻く課題について聞いた。
「今年もまた、ラッシュガードを買うことになりました」
近年、学校の水泳授業で使われる水着は少しずつ変わりつつある。肌の露出を抑えたセパレートタイプや、男女でデザイン差の少ない水着、ラッシュガードの着用を認める学校も増えてきた。
一方で、学校ごとの細かなルールが新たな問題になりつつある。たとえば、水着やラッシュガードの「色指定」だ。
「区立中学校の水泳授業 今年もまた、ラッシュガードを買うことになりました。毎年、水着を買い直しています。小学校では白だったのだけど、中学校は黒でないとならないそうです」
Xにこう投稿したのは、東京都中央区議を6年間務め、昨年から東京都議会議員として活動する高橋まきこ氏だ。大学生と高校生、中学生の3人の子どもを育てる母親でもある高橋都議は、末子の中学進学に伴い、学校用のラッシュガードを買い直すことになった。(「水着を買い直しています」は別ポストで訂正)
小学校では白のラッシュガードも認められていたが、中学校では「黒か紺」とされたことから、高橋都議は色指定の必要性に疑問を投げかけた。
学校用水着やラッシュガードを取り巻く現状について、高橋都議に話を聞いた。
「3人の子育てと学びには、お金も手間もかかります。学用品の中には、急に必要になるものもあり、近隣で購入できずに困った経験はこれまで何度もしてきました。
特に水着の場合、必要な色とサイズが必ずお店にあるとは限りませんし、必要になる時期もみんな同じです。学校は早めに購入の案内を出してくれますが、それぞれの子どもと相談して購入するまでには毎回、大変だなと感じます」(高橋都議、以下同)
今回の投稿に至った背景には、子どもの中学進学があったという。
「今年、末っ子が区立中学に進学しました。区立小学校ではラッシュガードが白も可だったのですが、中学校では『黒か紺』の指定でした。ラッシュガードの買い直しに対して、授業で年に何回使うかと考えました。
また私は『子どもの事故予防地方議員連盟』という議連でも活動していますが、水難救助の際には黒や紺の水着だと見つけにくく、関係者からは黄色や白、赤などの目立つ色を推奨されているとお聞きしてきました。にもかかわらず、なぜ学校は黒や紺を指定するのかと疑問に思いました」
高橋都議がこうした疑問を持つ背景には、猛暑などで水泳授業の実施回数が限られる学校が増えている現状もある。
「近年、全国的な高温化で水泳の授業実施が限定的になりつつあります。授業頻度に対して、細かな水着のルールを決めることが、どの程度指導に影響し、合理的と判断されるのかと考えました。
一例ですが、港区のように屋内プールがある学校にバスで送迎するという取り組みをしている自治体もあり、拠点校を設けて授業を増やす取り組みもあります。
私としては、指導頻度を確保するのであれば、指導の民間委託も含めて屋内で整備された施設で授業を実施すべきだと思いますし、授業と指導が確保されるのであれば、保護者として水着を用意するという前提です」
同じものを着てないとフォームの確認ができない
指定された水着やラッシュガードを購入する負担と、実際の使用回数とのバランスに疑問を抱いた高橋都議は、「黒や紺が望ましい」とされる水着のルールについて、小学校の教員に問い合わせたことがあるという。
「子どもが小学生の時に、フリルがついたような私物の水着ではなぜだめなのか、黒や紺のスクール水着を毎年買わせるのはなぜなのかと先生に聞いたことがあります。私物であれば旅行などでも着用できますが、学校の1~2回の授業のために同じぐらいの値段の水着を買わなければいけないのは負担だという声があったためです。
当時の先生からの回答は『指導がしにくい』『同じものを着てないとフォームの確認ができない』というものでした。ある面では合理的なのかもしれません。しかし、それほど細かな泳法指導が今の実施回数でできるのか、疑問に思うところもあります」
続けて、「水泳授業の位置づけや目的について改めて確認すべきだ」と高橋都議は指摘する。
「今の学校の水泳授業は実態とルールがアンバランスになっていますし、子どもの安全が目的なのであれば、おそらく今のルールは正しいものではありません。何のための授業なのか、という位置づけを改めて文部科学省が示したり、東京都で言えば、教育庁がある程度の考え方を示した上で、教育委員会や各校長が『水泳授業のあるべき姿』を語るべきフェーズなのではないかと思います」
さらに高橋都議は、学校のルールやきまりのあり方そのものについても疑問を投げかける。
「学校のルールやきまりについては、『子どもにもきちんと説明できるものであるべき』という考え方を文科省は示しています。また、こども家庭庁でも『こどもの権利』への理解を広げる取り組みが進められ、子どもの意見を尊重しながらルールをつくることが重視されています。そうした流れがあるなかでも、学校のきまりについて、子どもや保護者とともに合意形成する過程が必要なケースもあるのではないかと思います」

