2004年にリリースされた平成を代表する名曲「マツケンサンバⅡ」が、令和になって再び脚光を浴びている。かつては年末特番や宴会の定番曲として親しまれていた同曲だが、近年は松平健(72)の企業コラボや商品化、イベント化が相次ぎ、“キャラクターIP”的存在としても存在感を増している。
若い世代はマツケンのどこに惹かれ、企業はその人気をどう捉えているのか。“マツケン”が企業コラボやイベントに生み出される熱量を追った。
幼い頃は「変な歌だな」と思っていたけど…
近年のマツケン人気は、一過性のブームにとどまらない。
SNS上では、若い世代を中心に、松平健の代表曲「マツケンサンバⅡ」が「聴くだけで元気になる」「縁起がいい」「運気が上がりそう」など話題を呼んでいる。
きらびやかな金色の衣装で歌い踊る松平健の姿は、見る人に“多幸感”をもたらす存在として受け止められているようだ。
幼少期に「マツケンサンバⅡ」を知った奈々さん(仮名・27)は、大人になってから松平健の魅力に惹かれるようになったファンの1人だ。奈々さんは、親しみを込めて松平健を「ケン様」と呼んでいる。
「正直、小さい頃は『変な歌だな』と思っていました。だけど大人になってから『マツケンサンバⅡ』を聴くと、歌詞の意味は分からないのにすごく元気をもらえたんです。
なんと言ってもケン様の表情がいいです。金の衣装もめでたいですよね。あの独特なステップもまたいいんですよ。身体が大きいのに、軽やかなステップを踏むところが魅力です」
“見ているだけで元気になる”存在は、いつしか“推し”のような存在にもなっていった。奈々さんは、マツケングッズを目にするうちに、松平健のビジュアルにも惹かれるようになったという。
「私は、ケン様とキティちゃんのコラボがお気に入りです。色合いといい、デザインといい、リボンをつけたケン様の表情といい、全てがマッチしていて好きです。ただ汚れるのが嫌で、使えないんです。ケン様のグッズをつけている人を見たら、『おぬしわかっておるな』と思います」(同)
若い女性の日常に溶け込む“マツケングッズ”
マツケングッズは、若い女性の日常にも溶け込んでいるようだ。都内で販売員として働く茜さん(仮名・28)は、職場でマツケングッズを使う若い女性を目にすることがよくあるという。
「レジをしていると、マツケンの小さいポーチをお財布代わりにしている若い女の子を見かけることがあります。見つけると、やっぱりうれしくなりますね」
茜さん自身にも、マツケングッズにまつわる忘れられない出来事があった。
「仕事を終えて終電に乗っていた時、マツケンのチャームがついたカバンが車内に置き忘れられていたのを見かけました。正直、面倒なので関わらないでおこうか迷ったんですけど、チャームを見てたら『届けなきゃ』と思い、駅員さんに届けました。すると、すぐに持ち主の女の子が現れたんです。その日のうちにカバンが戻ってきたのは、マツケンチャームのおかげかもしれないね、なんてその子と話しました」(同)
日常の中で存在感を放つマツケンは、画面や商品を通じて楽しむだけの存在ではないようだ。前出の奈々さんは今年、念願だった松平健のライブにも足を運んでいる。
「今年はケン様に会うことを目標にしていたので、ライブを見に行けてよかったです。ポスターの手作り感も味がありますよね。同じ年の全国ツアーなのに、会場によってポスターが違うんです。
観客は40〜50代の女性が多かったんですけど、親子や若い人もいました。MCでは笑いの要素も大御所らしい上品さもあって、すごく上手だなと思いました」(奈々さん)
奈々さんが友人と会場を訪れた際には、ライブグッズとして販売されていた「サンバ棒」がすでに完売しており、マツケン人気の高さをうかがわせていた。

