3枚の写真、全てに広島カープ・矢野雅哉が写っていた。
「Smart FLASH」が報じた集合写真には羽月隆太郎氏、矢野、小園海斗、田村俊介の4人が。その中央に、指定薬物を譲渡したとして逮捕された滝口涼介被告が座っている。地方遠征先のホテルで撮られたとされる一枚もあった。だが、写真だけでは薬物を使ったとは言えない。問題は、カープの若手が集まる仲間の輪の真ん中に、素性のよく分からない男がいたことだ。
「Smart FLASH」によれば、羽月氏と矢野が滝口被告と知り合ったのは2024年夏頃。矢野の大学の後輩を介してだった。都内の会員制店舗で交流を重ね、集合写真は翌年5月2日に撮られたという。エトミデート(通称:ゾンビたばこ)が指定薬物に加えられたのは、この年5月26日。集合写真はその3週間前にあたる。羽月氏は写真に写っていたことを認めている。
別の写真は同年5月27日から28日、富山県で巨人と戦った遠征時のホテルでの一枚。滝口被告と同室のベッドに横たわるのは矢野だ。枕元の赤い棒状のものは「ゾンビたばこに似ている」が、それが何かは分かっていない。
滝口被告は「アテンダー」として振る舞い、「プロ野球選手40人を抱えている」と豪語していた。力士にも顔がきき、選手を絡めた講演会やイベントを開催していたという。加えて、スポーツ用品会社と選手を引き合わせていた。
関東地方に本社を置くこのスポーツ用品会社は1足22万円のサンダルなど高価格帯の商品を扱い、羽月氏や矢野が広告塔として登場。Instagramではカープとのアドバイザリー契約締結を発信している。2025年末には広島市内で「大忘年会」が開かれ、矢野や羽月氏が姿を見せた。
契約は事件後、球団からの通知で解除された。個人の飲み仲間が商品を挟んで、球団公認のビジネスの手前まで入り込んでいたことになる。
素性の分からない人脈が内輪に滑り込む隙
球団の動きはいつも、一手遅かった。羽月氏の逮捕後、選手に尿検査をしたが反応は出ず、一旦はそこで幕を引きかける。ところが公判で本人が「周囲に吸っているカープ選手がいた」と証言。追い込まれた鈴木清明球団本部長は5月15日、全選手への再聞き取りを明言した。ただし結果は「公表はしないと思う。捜査機関じゃないので」という、煮え切らないものだった。
球団は「Smart FLASH」の取材から逃げ回り、広報担当者は「部内で確認して折り返す」と答えたきり、そのまま連絡は途絶えたという。
当初は「写真もないのに」「関係ない選手を邪推するのは失礼だ」と週刊誌報道を戒める声が目立った。だが実名が出てからは、空気が一変する。バティスタのドーピング問題でも、結局は摂取経路が見えないまま契約解除に至った。今回も調査結果を示さないのであれば、「また何も分からないまま終わるのか」という不信感は拭えない。
広島カープは選手、スポンサー、後援会、地元の飲食店の距離が近い。それが「市民球団」の温かさだ。だが同時に、素性の分からない人脈が内輪に滑り込む隙にもなる。飲み仲間の紹介がスポンサー契約に化け、球団「公認」の看板までついた。
個人の交友を全て管理するのは無理だ。それでも、付き合う相手が何者かを確かめる仕組みと、調査で分かったことをどう説明するか。この二つからはもう、逃げられない。
(ケン高田)

