過保護な家庭、閉ざされた関係 “孤立する長男”の素顔
青木被告は地元では知られた名士一家の長男として生まれた。
父は市議会議長も務め、家庭は13代続いた裕福な農家で、両親は被告を高校まで送り迎えするほどの過保護ぶりだった。
中学時代の文集には自ら、
「命が一番大事、二番目はお金」「将来は社長になりたい」などと綴るも、当時の同級生たちは「どこか浮いていた」「少し変わっていた」と口を揃える。
大学を中退してからは自宅にこもることが増え、地域活動や祭り、消防団などにも一切関わらなかった。
「近所付き合いを拒み、犬の飼育をめぐってトラブルになったこともある」との地元住民の証言もある。
親族の一人はこう語っていた。
「親が良かれと思って手を出しすぎた結果、彼は自分で考える力を失った。孤独に耐える術もなかったのだと思う」
立てこもり中の“母子の会話”
事件当夜、青木被告は母親を人質にし、自宅に立てこもった。
母は被告に「一緒に死のう」と語りかけたが、彼は「嫌だ」と冷たく突き放したという。
立てこもり中、青木被告は「ぼっち扱いされた」「集団から排除された」と語ったとされる。
被害者意識に満ちたこれらの言葉の裏には、長年の孤立と、家庭内の支配的関係が見え隠れする。
母の存在は唯一の絆でありながら、同時に強い束縛でもあった。
その歪んだ依存関係が、事件の引き金の一つになったと見る専門家も多い。

