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AI相手だと人間は「14.5%失礼」になる

AI相手だと人間は「14.5%失礼」になる

AIが人間の「雑な話し方」に適応する未来

AIが人間の「雑な話し方」に適応する未来
AIが人間の「雑な話し方」に適応する未来 / Credit:Canva

今回の研究を振り返ってみると、人がAI相手だと自然とぶっきらぼうになってしまうという現象が示されました。

これは人間相手の会話では当たり前のように使っている丁寧な言葉遣いを、AI相手だと無意識に省いてしまうということです。

単純に言えば、「AIには丁寧に話さなくても問題ないだろう」と人が感じているためですが、このちょっとした気の緩みが、実はAIにとっては小さな壁になっていることが明らかになったわけです。

この発見は、AIを開発する側にとって非常に大事な意味を持っています。

従来のAI開発では、人間同士の丁寧な対話を基準にAIが訓練されているため、ユーザーがAIに対して突然フランクな口調を使うと、AIがうまく理解できないことがありました。

その意味で今回の研究成果は、これまでのAI開発に見落とされてきた重要なポイントを照らし出したことになります。

研究チームは、この新たな視点をもとに、多様な話し方に対応できる強力な対話型AIを開発する道筋ができたと示唆しています。

AIをさらに賢く、そしてよりユーザーフレンドリーな存在にしていくためには、丁寧な言葉遣いだけでなく、ユーザーが実際に使うような少し雑な言葉遣いやフランクな表現までAIが理解できるように鍛える必要があります。

例えば、カスタマーサービスのチャットボットに対してユーザーが多少ぶっきらぼうな質問をしても、AIがその意図を正確に理解できるようになれば、ユーザーはイライラせずにすぐに知りたい情報が得られ、企業側も顧客対応がスムーズになるでしょう。

つまり、AIがユーザーの自然な話し方を理解できれば、みんなが気持ちよく使えるシステムになり、社会的にも大きなメリットになるはずです。

ただし、研究にはいくつかの限界もあります。

今回の研究は、主にテキストを使ったチャット形式の対話を対象にしています。

また、調べたのは会話の初期段階(特にユーザーの最初の発話)に限定されており、やり取り全体を通した分析ではありません。

実際の生活では、やり取りが長くなるにつれてユーザーの態度や口調が変化する可能性もあるので、今後はこうした長期的な対話での礼儀や言葉遣いの変化を詳しく調べていく必要があります。

さらに、今回使ったデータは英語圏の特定のサービスに限定されており、他の言語や異なる文化圏では同じような結果になるとは限りません。

加えて、企業の内部で扱われる匿名データを使っているため、誰もが同じ方法で検証するのは少し難しい状況です。

こうした制約があることを念頭に置きつつも、人間がAIに対して丁寧さを省略してしまう現象自体は、多くの人が共感できる傾向だと考えてよいでしょう。

それでも、今回の研究結果はとても重要です。

これまでの「ユーザーが丁寧に話せばAIは正しく理解できるはず」という単純な考え方は再検討が必要だと示唆されました。

むしろ、ユーザーがAIに対して自然に使ってしまう雑な言葉遣いを前提として、それに適応できるAIを作るべきだという方向性が見えてきたと言えるでしょう。

研究チームは今後、この考えを生かしてAIのさらなる改善を進めていきたいと述べています。

具体的には、ユーザーの言葉遣いを自動的に判別して、それに合わせた対応ができるAIシステムや、さまざまなスタイルの言葉遣いを理解できる「次世代のAIチャットボット」の開発などが考えられます。

「歩み寄るべきはAIの側」ということになりそうです。

元論文

Mind the Gap: Linguistic Divergence and Adaptation Strategies in Human-LLM Assistant vs. Human-Human Interactions
https://doi.org/10.48550/arXiv.2510.02645

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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