いつものあの焼き菓子
彼が実家へ来るのは、今回で3回目です。玄関に入ると、彼は白い紙袋を父へ渡し、「どうぞ」と頭を下げました。
茶の間で袋を開けた母は、「これ、お父さんが好きなものね」と笑いました。中に入っていたのは、個包装された焼き菓子の詰め合わせです。父も礼を言い、すぐに1つ手に取りました。
彼の受け答えにも、手土産の中身にも問題はありません。両親が喜んでいることも分かります。それでも私は、前回と同じ箱を見ながら、小さな物足りなさを覚えていました。
3回続いた同じ手土産
1回目に彼が持ってきたのは、別の地方銘菓でした。2回目から今の焼き菓子に変わり、今回で同じものが3回続いています。
これまでは彼に任せていました。わざわざ買ってきてくれるだけでもありがたいと思っていたからです。
ただ、毎回同じものが続くと、両親のために選んでいるというより、失敗しないものを手に取っているだけに見えてきました。贈り物は中身だけで決まるものではありません。何を考えて選んだのかも、私は知りたかったのだと思います。
