福井県敦賀市に日本初のカニ専門テーマパーク「かにファクトリー 甲羅組」が7月16日にグランドオープンした。工場見学にレストラン、土産物売り場まで備えた「カニ尽くし」の施設だが、「また福井で話題のスポットが誕生した」と感じている人は少なくないだろう。
ほんの数年前まで、福井県と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、恐竜博物館と東尋坊ぐらい。「恐竜博物館はスゴいけれど、それ以外は何があるのか」と半ばネタのように語られることは珍しくなかった。
ところが今、そのイメージは大きく変わりつつある。最大の追い風は、2024年の北陸新幹線の福井延伸だ。
首都圏からのアクセスが飛躍的に向上し、「一度行ってみよう」という心理的ハードルは一気に下がった。東尋坊や永平寺、一乗谷朝倉氏遺跡、あわら温泉といった定番スポットに加え、越前ガニや日本酒など「食」を目的に訪れる観光客が増えている。
加えて今の福井には、「人」が観光資源になる現象まで起きている。象徴的なのが、あわら温泉「グランディア芳泉」の若旦那・山口高澄さんだ。「福井に来たらいいと思う」と呼びかける動画は260万回以上再生され、旅館のPRを超えて「福井そのもの」の知名度アップにひと役買った。宿ではなく、県全体を売り込む姿勢が共感を呼び、「若旦那に会いに行きたい」と、実際に訪れる人まで現れている。
それぞれの魅力が一本の線になった地方創生の成功例
福井はかねてから観光資源に恵まれていた。日本海の幸、歴史ある温泉、断崖絶壁の絶景、禅の総本山、全国有数の恐竜化石産地…。にもかかわらず、それぞれが点在していたため、「恐竜の県」というイメージに埋もれてしまっていた。
しかし、今は違う。新幹線によるアクセス改善に加え、SNSを駆使する若旦那や地元事業者の発信力が加わり、それぞれの魅力が一本の線としてつながり始めた。そこへ今回の「かにファクトリー 甲羅組」が新たな話題を提供し、福井を訪れる理由がまたひとつ増えたわけだ。
「恐竜しかない県」と言われた時代は過去のこと。今や福井は「恐竜もある」「カニもある」「温泉もある」「面白い人もいる」県へと進化を遂げつつある。地方創生の成功例として、福井の快進撃はしばらく続きそうだ。
(旅羽翼)

