映画「チルド」の初日舞台挨拶が7月17日、東京・TOHOシネマズ 日本橋で開催され、主演の染谷将太、唐田えりか、くるま、岩崎裕介監督が登壇した。
同作は、東京の片隅にあるコンビニ「エニーマート倉富町7丁目店」を舞台に、小さな社会に生じたわずかな歪みをきっかけとして、世界が終わりへ向かっていく様子を描いた88分間のコンビニエンス・ホラー。第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品され、日本作品として唯一、国際映画批評家連盟賞を受賞した。
初日舞台挨拶のチケットは販売開始翌日に完売。満席の観客を前に、染谷は「変幻自在な映画なので、ぜひ楽しんで帰っていただけたらと思います」と挨拶した。
【写真】映画「チルド」の初日舞台挨拶で、観客に観てもらうことで完成する作品だと語った染谷将太唐田は、自身が演じた小河について「この作品の中で唯一意志がある役柄だと思ったので、その辺りを意識しました」と説明。ホラー映画初出演となったくるまは、演じたキャラクターについて、監督とバイト先にいる先輩のエピソードを交換しながら作り上げたと明かし、「日本のバイト先の先輩の中心が解き放たれるので、笑い転げてもらったら」と語った。
主人公の堺役に染谷を起用した理由について、岩崎監督は「無の状態、ニュートラルな状態でありながら、雄弁でなくてはならない。その佇まいや、無の中にも確かに存在している空気感、虚無や空洞性を目に宿せる方は、染谷さんしかいないと思いました」と説明した。
撮影現場での染谷については「化け物でした」と表現し、演技に加えて、現場で気配を消すような存在感にも驚いたと告白。染谷は「意識してないです。目の前のスタッフさんに毎回探されていました」と笑顔で応じた。
唐田も、待合室では染谷が柱の横にそっといることが多かったと振り返り、くるまは「染谷さんの絵かと思っていたら、染谷さんの時があるんです」と独特な表現で会場を沸かせた。
染谷は役作りについて、監督から何もない人間でいてほしいと伝えられていたと明かし、「カメラの前に立った時点で撮られているわけですから、もう何かをしている。その中で何もないということを表現する、演じないということは、とても難しかったです」と回想。一方で「その矛盾を抱えながら演じることがすごく楽しかった。何もなくカメラの前にいるという贅沢を楽しんでいました」と語った。
唐田は、現場での染谷について、自然に役として存在していたため、芝居をしながら学び、引き出されることが多かったとコメント。自身が演じた小河については、システム化されたコンビニの世界で唯一、意思を持つ人物だと考え、その点を強く意識したという。
染谷も唐田の演技について「この狂っていく世界の中で、小河は唯一無二の存在。その唯一無二な姿が本当に説得力を持って目の前に存在していました」と絶賛した。
くるまは、染谷に俳優へ出演を依頼する際のメールの書き方を相談したことを明かし、「細かく教えてくださって、本当に東京のお兄ちゃんです」と感謝。染谷は、くるまの演技について「人との距離の取り方が絶妙で、何とも言えないねちっとしたお芝居がたまらなかったです」と称えた。
イベントの最後に、岩崎監督は、見る人によって受け取るものが変わる作品だと説明し、自分の心に浮かんだ感想をそのまま発信してほしいと呼びかけた。
染谷は「間口が広い映画である一方で、一歩踏み込むと無限に考えられるし、感じられる作品だと思います」とコメント。「皆さんに観ていただいて完成する作品だとも強く思うので、観て何か思うことがあったら、周りの人に広めてほしいです」と作品への思いを伝えた。
舞台挨拶の最後には、劇中にも登場するコンビニの定番商品、サラダチキンのうちわを掲げた観客を背景にフォトセッションが行われた。
また、音楽ユニットのPAS TASTAが担当した劇伴が、7月18日0時から配信されることも決定。ermhoiが参加した主題歌「無限の国 feat. ermhoi」など、作品の温度と静かな緊張を支える楽曲が収録される。
映画「チルド」は、7月17日からテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開されている。
【タイトル表記】
邦題:チルド/洋題:AnyMart
【公開表記】 2026年公開
【配給】NOTHING NEW
(C)『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)

