当サイトの7月12日の記事で、「そうせき」と名付けた我が家の黒猫が「うん」と返事をする……という話を書いところ、これを読んだ人から「うちの猫もおしゃべりします」とか「『うん』ともいいます」「爪がひっかかっちゃった時は思わず『アッ』って言ってました」等々の反応がLINEで送られてきた。
鈴木俊貴さんの「僕には鳥の言葉がわかる」という本があるが、まさかの「猫が人間の言葉をしゃべる」はその進化系か。そうせきをますます観察してみよう。
そんなそうせきを見ていて普段から思うのは、感情表現がハッキリしていること。激しくスネるのだ。留守にしたり不在にする時間が長いと、てきめん。
最近では猛暑日のことだ。昼頃から夜9時過ぎまで出かけて留守にした。帰宅するといちばん上の猫(ガトー)は、玄関で出迎えてくれた。真ん中の「クールボーイ」は遠くでご飯を食べたそうにしながら、こちらを見ていた。
しかし、そうせきは呼んでも姿を現わさない。いつものことだが、置いてきぼりにされてスネてるなとピンときた。そして見つけたのは1階飾り棚の上のテッペンの、箱状になっている空間。黒い耳の先がちょっとだけ見えた。そこで名前を呼んだのだが、ピクとも動かない。外側から叩いても反応しない。相当、スネている。
さらに叩いてみた。すると根負けしたのか、やっと姿を見せた。「ごめんね」と言って抱き寄せようとしたら腕を素早く通り抜けて走り去り、「ううん」と何かしゃべって抵抗している。
思い出すのは、10日ほど旅行に出かけた時のこと。帰宅したらもちろん姿を見せず、やっと現れたと思ったら「誰だ?」みないな顔をして怒っている。飼い主を忘れたかのような表情はないだろう。そうせきのへその曲げ方はいつも、ちょっと異常だ。
その後も何度か声をかけ、寝る前には捕まえてベッドにつれて行った。するとすぐに飛び上がり、逃げるように階段を駆け降りる。なかなか機嫌を直してくれない。
階下から「来て、来て」の猛アピールが!
ところが朝方、目を覚ましたら、定位置にしている部屋の入り口にある箱の上からジッとこちらを見ていた。意地を張るのをやめたのか。呼び寄せるとベッドにやってきて足元で体を伸ばし、安心し切って眠そうにしている。
朝5時前、ほかの2匹と一緒にご飯をあげ、ベッドに横になっていたら、階下から「来て、来て」の猛アピール。うるさいほどだ。
仕方なく降りていき、新聞を広げていると、そうせきが新聞の上にゴロンと横になった。この猫はなぜか新聞が好きで、いつも上に乗って邪魔をする。その頃には前日、スネまくったことなどすっかり忘れ、飼い主にベタベタ甘えるいつもの猫になっていた。
そんな気まぐれがいじらしくもあり、憎めない。それにしても考えたくもないのは今度、旅行などで家を留守にする時だ。どんなにパワーアップしてスネるのかと思うと、恐ろしくなる。
ところで8月には、2021年にガンで死んだ猫と、今飼っている3匹のことなどを書いた「猫のいる人生」(新潮新書)が本になります。是非、ご一読ください。
(峯田淳/コラムニスト)

