
ファミコン版『ドルアーガの塔』は1985年8月6日発売。「ファミリーコンピュータ Nintendo Classics」にて配信中 THE TOWER OF DRUAGA(TM)& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
【画像】えっアニメ版? 実はいま再放送中の『ドルアーガの塔』を冠する作品です
『ドルアーガの塔』が名作になった軌跡
2026年4月9日に「ファミリーコンピュータ Nintendo Classics」にて配信が始まった『ドルアーガの塔』は、今でこそ不朽の名作アクションRPGとして語られています。しかしその内容は「全60フロアの各階ほぼ全てに宝箱が隠されているが、出し方はノーヒント。解かなければ詰む」というもので、現在の感覚ではどう考えてもクソゲーです。
アーケード版は「1回ずつお金を入れて遊ぶ」ゲームであり、知識がなければすぐに詰みました。そのような理不尽極まりないゲームが、なぜ歴史に名を刻む神ゲーとなったのでしょうか。
原点は1983年のヒット作『ゼビウス』にあります。名作シューティングというだけでなく、豊富な情報量を持つ画期的な作品でした。
エリアをまたぐ長大なマップ、高得点の「ソル」と残機を増やす「スペシャルフラッグ」という隠し要素、そして背景世界の濃さは、「プレイヤーが情報を集め、交換する」動きを生み、ゲームセンターのコミュニティノートを通じて「集合知」が育まれていきました。
その集大成が『ゼビウス1000万点への解法』というミニコミ誌です。複数のトッププレイヤーが知識を持ち寄った結晶であり、それが田尻智氏のミニコミ誌『ゲームフリーク』の別冊として再録されたことで、濃いファン層に一気に広がりました。
そうしたゲーマー文化が、『ドルアーガの塔』を迎え撃った形です。その理不尽さは、各階ごとに謎(宝箱の出現手順)の性質が違うことに尽きます。序盤こそ「敵を何匹倒す」など分かりやすい手順が多いものの、7階の「シルバーマトック」(壁を壊せる銀のつるはし)の条件は「カッパーマトックを使い切る」というもので、上位互換の存在を知らなければ、怖くて使い切れません。
さらに中盤以降は「上、右、下、左を3回入力する」といったようなコマンド、動きを止める、特定の座標を通過するなど、多彩になっていきます。有名なのは31階の「1Pボタンを押す」というもので、これには「ルール違反だ!」との声も上がっていました。
ともあれ、当時のプレイヤーたちは「1階ずつ試行錯誤を繰り返す」ほかありません。しかし、宝箱には毒薬や空き箱も混ざっており、中には「宝箱なし」のフロアまであります。「ない」ことを知らなければ、永遠にさまよい続ける羽目になります。
さらに残酷なのは、アーケード版は縦画面で、マップ全体が常に見えているわけではないことです。偶然、宝箱が出現しても、その瞬間に宝箱が画面外にあれば、何が起きたか把握できません。これは謎解きゲームとして致命的ともいえます。だからこそ個人での攻略は困難を極め、情報の共有が必須だったのです。
そうした集合知が結実したひとつが、『マイコンBASICマガジン』1985年2月号(電波新聞社)に掲載された特集記事「ドルアーガの塔60階全解析!」でした。その後にファミコン版『ドルアーガの塔』(ナムコ、現バンダイナムコエンターテインメント)が発売され、たった300円で子どもでも買いやすい攻略本『ドルアーガの塔のすべてがわかる本』(編:ログイン編集部/アスキー、現KADOKAWA)も出版されます。
こうして『ドルアーガの塔』は、「神ゲー」として語り継がれていきました。もし、いきなりファミコン版が登場していたら、アレやソレをもしのぐ超クソゲーとして名を留めていたかもしれません。
