消えていたのは、彼の痕跡でした
付き合っていた頃、2人で1つのプレイリストを育てていました。彼が見つけてきた曲、旅先の車で一緒に聴いた曲、私が口ずさんでいた曲。順番に足していくのが、私たちの習慣でした。けれど画面に残っていたのは、私が1人で好きだった曲だけ。彼の曲も、2人で見つけた曲も、きれいに抜き取られていました。まるで、ここから自分だけを切り離していったような並びでした。
返ってきたのは、たった一言でした
どうして私の曲だけ残したのか、聞かずにはいられませんでした。私はメッセージを送りました。
「私の好きな曲だけ、残ってたよ」
送ってから返事が来るまでの間、何度も画面を確かめました。やがて届いたのは、一言だけでした。
「気づかなかった」
続きを待っても、もう何も来ません。彼にとってはその程度のことだったのだと、その短さが教えてくれました。
