ドジャースがリーグチャンピオンシップ・シリーズの初戦を辛勝。9回のマウンドの立った佐々木朗希が1点を失うなど、まさに薄氷の勝利だった。そして2戦目の先発マウンドに上がったのは、山本由伸である。
「ポストシーズンマッチが始まる前、ドジャースの2連覇を予想する声は多くありませんでした」(現地記者)
現地時間10月13日、このリーグチャンピオンシップ・シリーズ初戦での1勝が、ドジャースにとって今季の対ブリュワーズ初勝利でもあったのだ。ナ・リーグ西地区のドジャースは、同中地区のブリュワーズと6試合を戦ったが、全敗。対戦データを調べてみたら、ブリュワーズ戦でのチーム打率は1割7分9厘で、防御率は4.30。つまり打線は沈黙し、投手陣もコテンパンに打たれた、ということになる。
「ブリュワーズはシーズン序盤、低迷していました。ところが6月以降は一変し、8連勝、11連勝、さらに球団新記録となる14連勝を記録するなど、猛烈な勢いで首位戦線に躍り出ました」(アメリカ人ライター)
MLB30球団で勝率6割を超えたのはブリュワーズだけだ。しかし、猛追撃の代償だろうか。ポストシーズンマッチ突入とほぼ同時期に、チームを牽引してきた先発投手ブランドン・ウッドラフが負傷者リスト(IL)入り。24試合に先発した左腕ホセ・キンタナも離脱した。さらにブルペン陣のデイトン・ホール、クローザーのトレバー・ギメルが負傷してしまい、コマ不足に陥っていた。ドジャースを粉砕した時より投手力がダウンしているのは間違いなく、
「ウッドラフがチームを離れたのが痛いです。今季の猛追撃、最高勝率の象徴的選手でした」(前出・アメリカ人ライター)
ウッドラフは2023年10月に右肩を手術した。その際、ブリュワーズは契約更新を破棄。この処遇にファンは「冷たすぎる」と怒り、球団は2024年1月に改めて契約を提示しなければならなくなった。
ウッドラフは長いブランクを経て、今季開幕から復帰した。最初は苦しんだが、徐々に手術前の球速と制球力を取り戻し、それがチームの快進撃とも重なった。
「リーグチャンピオンシップ・シリーズでウッドラフが大谷翔平と対峙したら、それだけでもブリュワーズのファンは盛り上がったでしょう」(前出・アメリカ人ライター)
投手・大谷はリーグチャンピオンシップ・シリーズ第4戦での先発登板が予定されている。ブリュワーズがカブスを破った地区優勝シリーズを振り返ると、本塁打が絡む得点が目立つ。打線が「ウッドラフのためにも!」と奮起しているとすれば、要注意だ。
(飯山満/スポーツライター)

