◆最初にメスを入れるのはどこか
もし井端監督が誕生した場合、彼は現場の何を変えるのか。
野球ファンが彼に期待するのは、現役時代に「アライバコンビ」として球界を震撼させた神がかり的な守備位置のセンス、状況に応じたケース打撃や進塁打、あるいは一瞬の隙を突くサインプレーといった、緻密極まる野球の思想そのものだ。
14日の試合で佐藤輝明に痛烈な3ランを浴びた場面について、球団OBの福留孝介氏が「アウトコースばかりで踏み込まれている。この打席のことしか考えておらず、意図が見えない」と批評したように、現在のチームには「先の展開を見据えた戦略的な配球や戦術」が欠けている。
まず改善に着手するとみられるのが、バッテリーの戦術面だ。一球の重みを知り尽くした井端氏であれば、このバッテリーの甘えを見逃さないはずだ。ベンチからの緻密な戦略指示、守備走塁のディテール、そしてバントや進塁打といった「1点をもぎ取る戦術」の徹底により、チームの戦い方は大きく変わる可能性がある。
勝負どころで力を発揮できる集団へ導く統率力によって、防げる失点を完全に防ぎ、勝てる試合を確実にモノにするチーム作りへと動くはずだ。
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◆落合中日はなぜ強かったのか──井端が知る「勝てる組織」の原点
井端という指揮官がもたらす変革の有効性は、過去の歴史が明確に証明している。彼自身がその渦中で黄金期を支えた「落合博満監督時代(2004〜2011年)」のデータこそが、その揺るぎない証拠だ。
あの時代のドラゴンズは徹底した「守り勝つ野球」だったと記憶されがちだが、本当の強さはそれだけではない。落合政権は130本から140本近くの本塁打を毎年のように放つ破壊力も兼ね備えていた。
そして何より、その打線の中心にはタイロン・ウッズという「不動の4番」がどっしりと座っていた。「4番が決まれば、あとはどうにでもなる」という落合元監督の言葉通り、中心打者が固定されていたからこそ、井端氏自身も含めた周囲の打者がそれぞれの役割を全うし、繋がる形が機能していたのだ。
井端氏は、常勝軍団における「4番固定の重要性」と「打線の核を中心とした役割分担」を誰よりも骨身に沁みて理解している。彼が指揮を執るならば、落合政権が証明した「得点源を作り、打線を線にする」という極めてシンプルな原点において、経験を最も生かせる指揮官と言える。
