10月14日に行われた国際親善試合で、サッカー日本代表がついに王国ブラジルを撃破し、歴史的勝利を飾った。
試合は前半を0―2で折り返したが、森保ジャパンの自慢の攻撃陣が息を吹き返し、後半怒濤の3得点で大逆転。来年の北中米ワールドカップ(W杯)に弾みをつける中、MVP級の存在感を放ったのは、スリーバックの一角で先発した22歳のDF鈴木淳之介だ。
「日本代表に初選出されたのはわずか5カ月前のこと。今回の代表メンバーの中で知名度は一番低かった」と、サッカーライターが話すように、A代表の出場は通算3試合目。しかもセンターバックの経験は、まだ1年ばかりだった。
2022年に帝京大学可児高校を卒業後、J1の湘南ベルマーレに加入。ボランチが主戦場でしたが、2シーズンでリーグ戦に出場したのは5試合のみ。出場機会に恵まれなかったが、山口智監督がセンターバック(CB)にコンバートすると、昨年6月のガンバ大阪戦でスタメンを飾った。
「ポジションが後ろに下がったことで余裕が生まれ、長短織り交ぜた高精度のパスが面白いように通るようになった。ドリブルでボールを運べるし、180センチとCBでは小さいほうですが、跳躍力は自分のヒザが相手の頭に届くほど高い。才能を開花させ、あっという間にレギュラーの座をつかみました」(前出・サッカーライター)
それからはシンデレラストーリーを歩んでいる。今年5月に日本代表に初選出。7月にはデンマーク王者のコペンハーゲンに完全移籍すると、10月に欧州クラブの頂点を決めるチャンピオンズリーグにも出場を果たした。
そして迎えたブラジル戦では、変幻自在のドリブルを武器に、チェルシー(イングランド)で大活躍中のエステヴァンを完全にシャットアウト。対人能力で無類の強さも見せつけた。
「DF陣は主力組の冨安健洋、板倉滉、伊藤洋輝、町田浩樹、高井幸大と負傷者続出の緊急事態でした。言い方は悪いですが、棚ぼたで呼ばれた中で、鈴木を発掘できたのは嬉しい誤算。北中米W杯のメンバー争いでは、最後尾からゴボウ抜きでトップに躍り出るほど、序列を上げました」(前出・サッカーライター)
シンデレラストーリーにはまだ続きがありそうだ。
(海原牧人)

