変わっていく実家の食卓
私が実家を出て、1人で暮らすようになって数年が経ちます。仕事の合間をぬって帰るたび、母は台所に立って私を迎えてくれました。子どものころから私の一番の好物は、生姜をきかせた母のからあげでした。帰省すると必ず食卓の真ん中にあって、それを食べると帰ってきたのだと実感できました。ところがここ最近、その皿が食卓から消えました。代わりに並ぶのは、聞いたこともない名前の煮込みや、きれいに盛りつけられた魚料理ばかりです。
素っ気なくなった母
母は新しい料理をおぼえることに夢中のようでした。私が話しかけても、鍋から目を離さずに短く返すだけです。そういえば少し前に帰ったとき、食卓を見て「お母さんの料理って、昔から変わらないよね。」と言ったことがあります。ただの世間話のつもりでした。あの一言と関係があるのかもしれないと思5つ、母の背中はもう次の料理に向かっていて、私は何も聞けませんでした。
