住まいと孤立。見過ごされがちな「生活基盤」の壁
課題は職場内にとどまらない。日本での住まい探しにおいて43%が「困ったことがある」と回答。保証人要件や「外国人お断り」といった慣習、言語の壁が、安定した生活基盤の確保を阻んでいる。さらに、55%が日常生活で「外国人だから」という不利益を経験したと答えており、社会に根付く“見えない壁”の存在も見えた。
深刻なのは、精神的な孤立だ。「仕事や生活の悩みを相談できる相手がいない」と答えた人は33%にのぼり、「あまりいない(15%)」と合わせると、約半数が十分な相談環境を持てていない。職場内のメンター制度や、同郷コミュニティとの連携など、孤立を防ぐ仕組み作りが求められている。

TCJグローバル日本語総合研究所の徳田淳子所長は、「採用は出発点に過ぎない。いかに定着を支え、能力を発揮してもらえるかが、企業の競争力だけでなく、日本社会全体の持続可能性を左右する」と指摘する。外国人材を単なる労働力としてではなく、社会を構成する一員として受け入れ、多角的な支援体制を構築することが問われているのかもしれない。
文:佐藤美紀

