3日分に増えた下書き
月末の光熱費のメモの横に、私は最初の下書きを書き始めました。パートも減らされ、2歳の息子の秋冬の服はサイズが変わる時期で、値上げの続くこの春に新しく買い足すのが、家計にこたえます。ダメ元で、と自分に言い聞かせても、ママ友から物を譲ってもらう頼み事は、ひどく重い一言に感じました。書いては消し、次の日には別の言い回しに直し、また消しました。3日目、息子が去年着ていた上着の袖を引っ張って寒いと言ったのを見て、私は「そういえば、お下がりある?もし要らないやつあったら、分けてほしいなって…」と、下書きの最後の形のまま送信ボタンを押しました。そのあと、私はスマホを机に置いて、しばらく画面を見ないようにしました。
2通目を打ちかけては消して
翌日、通知欄には返信の名前が並んでいませんでした。息子の給食のお知らせだけが、上に1つ増えていました。私は自分の送った一言の続きに、言い訳や取り消しの文をいくつも書いてみて、どれも打ちかけては消しました。「気にしないで」「ないよねごめん」「別に急いでない」。どれも押しが強く見えるか、意味がわからない一言になっていました。読まれてはいるようでした。読んだ人が返信できていないのは、返事に困っているからです。断りにくいのに聞いてしまった、と何度も思いました。私はもう、この頼み事はやめようと決めました。
