演技で始まる濃密な時間
メインセッションとなる“ラボラトリー・アクティング”では、台本読み、台本通りの演技、エチュード(始まりと終わりだけ決まった即興演技)をあらかじめ募った参加者たちが演じます。
そこだけ聞くと、いわゆる舞台演劇などの「ワークショップ/WS」形式に似ているように感じますが、「円盤ラボ」はあくまで「脚本のブラッシュアップを目的としている」のが特徴です。加えて、作品のキャスティングを目的としたものではない点も興味深いところ。
このラボでは、『円盤』という作品に対し、各々の参加者が様々な角度から場面や演技の解釈を行い、作品を掘り下げていきます。
事前に設定された組み合わせで台本読みからスタートすると、場の空気が張るのがわかります。演じる方も、観る方も、真剣。全員、脚本が既に“入って”いたのも印象的でした。
場面ごとの演技は、俳優によって表現は本当に様々。試演の回数だけ、解釈が生じます。
場面解釈や表現について、都度、俳優と難波監督がコミュニケーションを交わし、場面が組み立てられていきました。
あっという間に過ぎた5時間半
緊張と緩和の入り混じる5時間半はあっという間に経過。筆者も観客のひとりとして見入ってしまう瞬間が多々ある、濃密なラボとなりました。
劇中のメインキャストと共に、本気のセッションが行えるアトリエというのは、やはり稀有でしょう。そして、演者、見学者に関わらず、作品のブラッシュアップの過程がライブで観られるというのも大きな魅力です。
最初は恐る恐る参加していた人たちも、ラボ終了時には「志」を共にしたような安心感を表情にあらわしていたのが印象的でした。そういった意味でも、共創を掲げた「円盤プロジェクト」は確かな効果をこのラボの中でも示したと言えます。
今回の円盤ラボを通し、次の脚本はおそらくまたブラッシュアップされるでしょう。そのころには、きっと新たな『円盤』イベントが起きるはずですので、引き続き、円盤プロジェクトの動きを見守りたいと思います。
■円盤ラボ
https://enban-film.studio.site/enban_news/enban-lab
■難波監督によるレポート
https://note.com/nozomu_namba/n/nfeed16952bd9?sub_rt=share_pb
『円盤』ストーリー
酒に溺れ、かつての栄光も大切な家族も失ったあげく、進行がんを告知された中年の役者・黒田。
人生の崖っぷちに立った彼がすがったのは、遠い昔の初恋の幻想だった。
北を目指す旅の途上で、彼は偏屈な自称UFO研究家・宇野と出会う。
オンボロのバンで旅をするふたりは、衝突を繰り返しながらも心を通わせていく。
その旅の行く手でふたりが目にしたものとは──!

