「可愛いから」で通じなかった、彼女の準備と俺の眼差し
「別に他意はないよ。可愛いから見せたかっただけ」。そう伝えても、彼女の表情はほどけませんでした。むしろ、俺のその言い分こそが、彼女には1番引っかかったのかもしれません。
話しているうちに、彼女がその日の髪型やメイクや浴衣にかけた準備の量を、俺は知りました。頑張って整えた日だからこそ、目を閉じている1枚が独り歩きしていることが悲しかったのだと、彼女は少しずつ教えてくれました。
まばたきの一瞬も、俺にとっては彼女がいとおしく見える瞬間の1つです。ただ、俺に愛しく映る瞬間と、彼女が人に見せたい瞬間は別なのだと、そのときようやく分かりました。
そして...
「これからは、送る前に一言聞いてほしい」
彼女のその言葉に、俺はうなずきました。それから写真を撮るたびに、俺は彼女に「これ、載せてもいい?」と聞くようになりました。ただ、聞くことが習慣になっても、彼女の返事までの間が、ほんの少し長く感じます。
俺に愛しく映る瞬間と、彼女が人に見せたい瞬間は違うのだと、俺はまだ手探りで学んでいるところです。次に彼女が浴衣を着る日を、いつか2人で笑って迎えられるように、まずは送る前に一言聞くことから、続けていくつもりです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
