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〈自公決裂〉「首班指名で高市以外の名前を書く」自民の“造反者26人”が書かれた“怪文書”…当事者は「悪質なデマ」と怒り心頭も永田町は大混乱「公明代表を首相に」のシナリオも

〈自公決裂〉「首班指名で高市以外の名前を書く」自民の“造反者26人”が書かれた“怪文書”…当事者は「悪質なデマ」と怒り心頭も永田町は大混乱「公明代表を首相に」のシナリオも

26年続いた連立から公明党が離脱し、政界再編の大嵐が吹き荒れる永田町。「自公」の枠組みが崩壊し、自民党新総裁となった高市早苗氏の首相就任に黄信号が灯っている。

風雲急を告げる永田町では、高市氏に“弓を引く”可能性のある自民議員26人の「造反可能性リスト」が出回り、関係者をざわつかせているが、名指しされた議員は即座に内容を否定。党内外では、真偽不明の「怪文書」との認識で一致しているが、政界には少なからぬ波紋を広げている。

派閥均衡を無視した人事が党内の溝を深める

「私の責任。不徳のいたすところ」。14日に開かれた両院議員懇談会で高市総裁は居並ぶ議員を前に神妙な面持ちで頭を下げた。

21日に召集される臨時国会の冒頭で行われる見込みの首相指名選挙について、「ぎりぎりまで、合意できる政党と一緒に歩めるよう努力する」とも宣言。同時に、「皆さんの力もお借りしたい」と悲痛な訴えを口にした。

だが、会場の空気は重かったという。

「出席議員から公然と執行部を批判する声は上がりませんでしたが、オフレコ取材で『だから言わんこっちゃない』と高市新総裁の対応への不満を漏らす議員は少なくありませんでした。

今のところ、表立った『高市おろし』の声は上がっていませんが、『新総裁が高市氏でよかったのか悔やまれてならない』『一度壊れたものは元には戻らない』と公然と高市氏を批判した農水族のベテラン・野村哲郎元農相のように今後、党内で声を上げる勢力が膨らんでいく可能性もあります」(全国紙政治部記者)

日経新聞の試算では、次の衆院選で公明党の選挙協力がなければ自民候補の2割が落選するという。あるベテラン議員は、「ただでさえ少数与党なのに、これで過半数確保のハードルが一気に上がった」と表情を曇らせた。

不満の矛先は人事にも向かっている。

「あれだけ露骨な論功行賞で党役員人事をやられたら、ついていくのが馬鹿らしくなるでしょう。麻生太郎元首相を副総裁に起用し、その義弟の鈴木俊一氏を幹事長に据えたのをはじめ、新設された副総裁特別補佐にはコロナ禍の銀座クラブ通いで『銀座三兄弟』と呼ばれた松本純元国家公安委員長が就いた。派閥均衡を無視した人事は小泉進次郎農相を支えたグループの反発を招き、党内にも溝が広がっています。

本来なら連立崩壊の衝撃を受けた今こそ一致結束すべき局面なのに、幹事長や副総裁がベテランで固められ、若手やリベラル派は肩身が狭いのが実情です」(同)

高市氏自身は11日から13日の3連休、東京・赤坂の衆院宿舎に“ひきこもり”、党幹部との連絡は官房長官内定者の木原稔氏に任せきりだったともされる。気配を消す総裁に、周囲からは「党幹部などとの連携は大丈夫なのか」との不安の声も漏れたという。

「指摘された名前を見ると妙に納得してしまう面もある」の声も

そんななか、永田町をざわつかせているのが「造反者リスト」の怪文書だ。来たる首班指名で野党候補に投票する自民党議員が26人いるという憶測が飛び交い、その氏名を列挙した紙が回覧されたのだ。

噂の拡散に拍車をかけたのは立憲民主党の有田芳生衆院議員だ。15日、有田氏は自身のXで「造反議員26人」と題した実名入りの怪文書を公開し、「実際には具体的にさらに進んでいます」とコメントした。

名指しされた佐賀1区選出の岩田和親衆院議員が自身のXで、有田氏のツイートを引用し、「根拠のないSNS情報に振り回されないようお願いします」と反論。

国光文乃衆院議員(茨城6区)も即座に「根拠不明ですが、あり得ません」と反論し、「自民党は責任政党。民主的に選ばれたリーダーを熟議の上、結束して支えます」と投稿した。

同様に名前があった三谷英弘衆院議員(神奈川8区)も、「造反しませんっ」と火消しに走った。

「リストには総裁選で小泉進次郎氏の陣営で広報の責任者を務めた牧島かれん元デジタル担当相の名前もありました。牧島氏も『根拠不明で、あり得ないことです』とXで否定しています。地盤が固くない若手議員の名前があるいっぽうで、閣僚経験もあるような当選回数を重ねたベテランの名前もあげられています」(前出の政治部記者)

永田町内では政界の混乱に乗じて流された「悪質なデマ」と評する声が圧倒的だが、「指摘された名前を見ると妙に納得してしまう面もある」と明かすのは、あるベテラン議員の事務所関係者だ。この関係者は声をひそめてこう明かす。

「まったく迷惑な話だが、名前が挙がった選挙区を見ると『よく調べたな』と感心してしまった。というのも、ここに上がった選挙区はいずれも公明票が多いところ。なかには選挙区での当選が叶わず、比例復活でようやく議席にありついたゾンビ議員もいる。

いずれも公明の連立離脱が死活問題になる面々で、今回の事態を招いた高市氏に怨み骨髄という議員もいるのは否定できない」

怪文書は一夜にして拡散されたが、当の自民党内では「誰が仕掛けたのか分からない」と戸惑いが広がる。

リストには他にも複数のシナリオが書かれていた。

1つ目は自民党議員が196人全員高市氏に投票し、野党の意見が分かれて高市総理が誕生するパターン。

2つ目は国民民主党の玉木雄一郎代表が野党の統一候補となり、立民、維新、国民の票を合わせて高市氏を上回るという筋書き。

3つ目は公明党の斉藤鉄夫代表を首相候補に担ぎ出し、自民196票に対して野党の234票で勝つという驚きのシナリオだ。

造反リスト騒動は、SNS社会が政局を翻弄する危うさを浮き彫りにしたが、国民の間では「誰が本当のリーダーか」を巡る議論が盛り上がり、党内の結束のもろさが可視化されたとも言える。

自民党内では、怪文書の出どころを探る動きもあり、前出の関係者は、「選挙前に敵と味方をあぶり出そうという狙いではないか」とささやく。

公明党なき新体制で、高市総裁には物価高や安全保障といった国家の難題に加えて、党内の不満や造反の火種をどう抑え込むかのタスクも課される。造反リスト騒動は単なる怪文書に終わるのか、それとも本当の反乱の予兆なのか。

自民党が再び安定多数を確保し、国政を主導できるかどうかは、これから始まる数週間の舵取りにかかっている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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