半年前に借りた鍋が、いつのまにか気まずさの塊になっていた
半年前、1人暮らしを始めた私に姉が電気圧力鍋を貸してくれました。最初のうちは煮物を作るのに使っていましたが、大学院入試の勉強が本格化してからは、キッチンに立つ余裕そのものがなくなり、鍋は目に入らない場所へ追いやられました。
姉から「圧力鍋そろそろ返してほしいんだけど、いつなら渡せる?」と連絡が来たのは、そんな私の生活が一番荒れていた時期でした。すぐに読みました。読んで、開いたページを閉じました。
開いたら答えなきゃいけない、と分かっていた
「わかった、今度返す」と打てば済む話です。でも、模試とゼミ発表が立て続けに入り、返せる日を確定できませんでした。開いたら答えなきゃいけない。答えられる状態になってから返そう。そう思って先延ばしにしているうちに、姉からの2度目、3度目が届きました。
既読をつけながら閉じ、閉じてから自分を責める。入力欄には打ちかけの文字がずっと残っていました。
