予約の確認だけの、短い電話のはずでした
大学のサークルで一緒だった元カレとは、別れてからも共通の友人グループで顔を合わせる関係が続いていました。友達に戻ったつもりで2年、来週の集まりの店の予約を頼んでいた件で、私は通話ボタンを押しました。
呼び出し音は、以前は普通の電子音だったはずです。けれど耳元に届いたのは、私も彼も知っている失恋のバラード。付き合っていた頃、彼の車の中で何度も流れていた曲でした。彼は数秒で電話に出て「もしもし、どうした?」と言いました。私は用件を伝え、彼は「うん、覚えてる。予約とっとくよ」と、いつも通りの声で答えました。
集まりの席で、私だけが向き合えなくなっていました
翌週の集まりで、彼は「お、来てたんだ」と、以前と同じ距離感で近づいてきました。他の友人たちも変わりません。変わっていたのは私だけです。友達として過ごしていた2年の間、彼のスマホの中には、私の知らない気持ちがずっと流れていたのかもしれません。会話の輪の中で、私の相槌だけがどこか浮いて聞こえた気がします。
