7月中旬、岩手県雫石町で、罠にかかったクマを溺死させて駆除したことが物議を呼んでいる。県によると21日、「雫石町がクマを溺死させたとSNSで発信されている」という電話が数件寄せられたことから町に事実確認したところ、事実であることを確認。
岩手県は、県の「第13次鳥獣保護管理事業計画」の趣旨に沿うものとは言い難いとして、雫石町に注意した。雫石町は「ドラム缶式の罠は構造上、捕獲者の安全を考慮した結果、クマを溺死させる方法を取った」と説明している。
「銃声で家畜が驚いてしまうため、農家さんが嫌がるという事情も」
岩手県では近年、クマの目撃情報や人身被害が相次ぎ、住宅敷地内への侵入も珍しくない。今回、雫石町でクマがドラム缶式の罠にかかった場所も住宅敷地内だった。雫石町役場の担当者がこれまでの経緯を説明する。
「県内でも雫石町はクマの目撃情報が多いエリアではあります。今回のクマに関しては同一個体が住宅地を徘徊し、民家の敷地内に入ることを繰り返していました。そういった被害状況がありましたのでドラム缶式の罠を設置していたんです」
クマの捕獲には主に檻とドラム缶式の罠が使われていたが、雫石町がドラム缶式を使用していた理由について担当者はこう語った。
「雫石町では箱罠も所有していますが、基本的にはドラム缶式の罠を使っていました。というのも、生きたクマが入った檻を移動させるのは現実的にかなり大変だからです。さらにこの地域では、檻の中のクマを駆除するために銃を使用すると、牛などの家畜を飼っているところが多く、銃声で家畜が驚いてしまうため、農家さんが嫌がるという事情もありました」
ドラム缶式の罠は、捕獲後に移動しやすいという利点がある。しかし、雫石町が使用していた罠は、捕獲後に内部の様子を十分に確認できない構造だった。
「我々が使っているものは密閉性が高く、ドラム缶の中に入ってしまうと中の様子が見えません。穴は開いているので確認自体はできますが、捕獲者が覗いている側にクマがいるのか、反対側にいるのかも分からないほど暗いんです。なので重さでクマが入っているかどうかを確認します。
その穴から銃口を入れて撃つこともできますが、個体が見えない状態で撃つので、撃ったあとに死んでいるのか、生きているのかも、蓋を開けなければわかりません。そういった構造上、捕獲に従事する方々の安全を確保するため、溺死という方法を取りました」
「もうひとつ穴を開けたり格子の幅を広げて銃口を差し入れられるようにする」
クマを殺処分する際はドラム缶ごと水中に沈めるのかと記者が質問すると、担当者は「結論から言うとそういう形ですね」と答えた。駆除する場所については明らかにしていないという。
さらに担当者は、「罠の構造上、状況にもよりますが、溺死という方法自体は今回が初めてというわけではありません」と説明した。
クマを溺死させていることがSNSで発信され、県から注意を受けたことについて、今後の対策を尋ねると担当者はこう語った。
「今までは安全性を優先していましたが、今回ご指摘を受けた部分も当然考慮しなければならない部分だと考えています。そういった電話も午前中だけで10件以上かかってくる日もありました。現状、ドラム缶式の罠を他の罠に変えることも考えていますが、まず検討しているのは今あるドラム缶式の罠の改修です。
現在はクマを視認する穴と銃を差し入れる穴が同じですが、もうひとつ穴を開けたり、格子の幅を広げて銃口を差し入れられるようにしたりと、そういったことから進めようと思っています」

