軽く返せば済むはずの、軽く返せない相談だった
親友からのメッセージを開いたのは、母の血圧が落ち着いてからでした。
「会社でやらかしちゃった。もう自信ない。話聞いてほしい」
学生時代から電話越しに何時間でも聞いてきた彼女の相談と、同じ声が画面越しに響きました。「大変だね、また話そう」と入力してから、送るのをやめました。私は普段、彼女相手にこの一言で済ませたことがありません。廊下の椅子で膝にスマホを置いたまま、下書きだけが積もっていきました。
返信を書き直しては、送れないまま日が過ぎた
翌朝、母の点滴を眺めながら画面をもう一度開きました。書き出しを変え、途中で消し、書き直し、また書き直し。診察の呼び出しや看護師の質問が挟まるたび、私の意識は親友の相談から離れていきました。悪気はありませんでした。私は頭のどこかで、彼女への返信を「余裕のあるとき、ちゃんと」の側にずっと置いていました。そのうち、返信の遅さ自体が申し訳なくなり、余計に開けなくなりました。
