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企業の商品開発の今。ものづくりの可能性を広めるDEIの視点とは

企業の商品開発の今。ものづくりの可能性を広めるDEIの視点とは

DEIの視点を生かしたグループワーク

グループワークでは車いすユーザーの山本さんの意見も交え、自由闊達な意見交換が行われた

「あすチャレ!Academy」の前半で、自分たちの「普通」の概念をいい意味で壊された参加者たちは、後半では4人1組に分かれてグループワークを行った。
会場に置かれた自社の家電の中から1グループにつき1つ、好きなものを選び、その家電が、グループのメンバー全員にとって使いやすいものにするには、どうしたらいいのかを考える、というものだ。

各グループのメンバーは参加者4名に山本さんを加えた5人。車いすユーザーである山本さんも含めて「使いやすい家電」を考えていく。

選ばれた家電は、掃除機、冷蔵庫、マッサージチェアー、水流で口腔ケアをするジェットウオッシャーなど、幅広いラインナップ。

選んだ家電を手にしながら、それぞれの「使いやすさ」を探ろうと、各グループは山本さんにさまざまな質問を投げかけた。

例えば、掃除機を選んだグループはこんな質問を投げかけた。
「普段家の中でも車いすを使っていますか」
「部屋の中では車いすが使いやすいよう床にモノを置かないようにしていますか。その場合はお掃除ロボットが便利ですか」

山本さんの答えはこうだ。
「皆さんが家に帰ると靴からスリッパに履き替えるように、私も室内用の車いすに乗り換えます。また、今もそうですが、車いすに座っていても、気持ちとしては立ってお話をしているつもりです。なので自宅で座るとなると、ダイニングテーブルのいすに座ったり、小上がりの畳に座ったりします。
また、床に置いたモノは多くはありませんが、座ったままの状態では高い位置に手が届かないため、自宅では低く横幅のある棚を多めに使っていることもあり、床面積が結構ある部屋なんです。そのためお掃除ロボットで掃除をするには時間がかかるので、普段は普通の掃除機で掃除をしています」(山本さん)

山本さんは写真のように、普段は両脚に掃除機を挟んで掃除をするそう

また、冷蔵庫を選択したグループが投げかけたのはこんな質問だった。
「山本さんは普段どんなサイズの冷蔵庫を使っていますか。上の方の棚は使いづらくないですか」

山本さんはこう答えた。
「私は自動製氷機を使いたいのですが、容量の小さな冷蔵庫にはついていないことが多いです。それで容量の大きな冷蔵庫を使っていますが、以前は背の低いタイプを使っていました。でも、自動製氷機付きで背の低いタイプとなると横幅が広くなってしまうんです。横幅のある冷蔵庫は今の住環境では置けないので、現在は容量のある背の高いものを使っていますが、上の段はガラガラです。たまに友人が置いていったチーズが上の段でカピカピになっている、なんていうこともあります(笑)。なので、私があったらいいなと思うのはキッチンの吊り戸棚などで見る、ひっぱると低い位置まで下がってくる棚。あれが冷蔵庫でもできるといいなと思うんです。これなら車いすユーザーだけでなく子どもやお年寄りも便利ですよね」(山本さん)

研修で得た新しい視点をもとにイメージを膨らませ、山本さんへの問いかけを通して思考を巡らせた参加者たち。山本さんも、参加者の想像以上の反応に期待を寄せた。

「1つの商品から、色んな人の生活を想像するようになったのはすごいことだと思います。この人は、普段どんな暮らしをしているんだろう、というところまで考えていけば、トータルな家電の提案ができるようになるんじゃないかという可能性を感じました」(山本さん)

「みんなが使いやすいってどういうことだろう」

研修後、実際にこの講習にも参加した同社の米田友花さんに話を聞いた。米田さんは、通常はくらし技術開発部第一課第一係という部署で、アプリなどの研究開発関係の仕事をしているが、社内の「複業制度」を利用して1年間、大美さんと同じDEI・組織開発室にも籍を置いていた。

研修に参加した、パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社くらし技術開発部第一課第一係の米田友花さん(写真奥)

「今回の講習は、社員全員が受講したらいいのにと思うくらい充実していましたし、楽しかったです。
例えば、私は以前から多くの家電からピーピーと、みんな同じ音がするなと思っていました。音の高さや回数は違うんですが、似たような音なので、だったら『洗濯が終わりました』とか言葉で知らせてくれたほうが分かりやすいですよね。それならば晴眼者(視覚に障がいのない人)だって便利なのにという話を社内でしたことがあります。
しかし、実際のものづくりの現場ですと『人が話すようなスピーカーは原価がすごく高いんです』といった、どちらかというと守りの姿勢になりがちです。でも、今回のような話を聞くと、『みんなが使いやすいってどういうことだろう』と素直に考えることができますし、山本さんのような方がものづくりを引っ張ってくださるというのは、すごくいいことだなと感じました」(米田さん)

配信元: パラサポWEB

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