参院でわずか2票差で成立した「副首都」関連法。野党側の強い反発があり、参院の特別委員会では、特別区の設置を問う住民投票と関係自治体の選挙期間が重複しないよう最大限調整することを盛り込んだ付帯決議が可決されたが、維新の吉村洋文代表は成立直後、「同日選を目指していくべきだ」と述べた。
これにすぐさま反発したのが、国民民主の玉木雄一郎代表だ。その裏には、内閣改造が行われるとみられる夏から秋を見据え、国民民主が存在感を発揮したい思惑もあるようだ。
「生煮え」「荒っぽい」玉木氏が維新を猛烈批判
「1回で投票できるコストも抑えることができると考えれば、私は“同日選”を目指していくべきだと思う」
維新の吉村代表は、「副首都」関連法が成立した24日の夜、付帯決議の内容に反する自らの考えを示した。大阪都構想をめぐる住民投票と、来年春の大阪府知事選を同日に実施したほうがコストを下げられる、というのが吉村氏の主張だ。
いっぽう、国民民主などからは、住民投票と知事選を同日に行なえば、吉村氏を支持する有権者の投票行動が都構想への賛否にも影響し、維新に有利に働くのではないかとの批判が出ている。
国民民主の玉木代表は、その日のうちに「国会軽視も甚だしい」「よほど同日選挙にして、選挙を有利に進めたいとしか思えない」と、記者団の取材に答え、住民投票と来年春の府知事選の同日実施を禁じる法案を再提出する考えにも言及した。
これに限らず、最近の玉木氏は維新に対して辛辣だ。時事通信のインタビューで「国旗損壊処罰法案や『副首都(創設)』法案など、維新肝煎りの法案や政策が生煮えで質がよくない」と批判。衆院の比例定数を45削減する法案に関しても「荒っぽい」と一刀両断した。
「とくに玉木氏が強く抵抗したのが、比例復活議員が多い国民民主にとって不利になる定数削減。なんとか取り下げるよう、国民民主側が維新側に頼み込もうとしたこともあったそうだ」(自民関係者)
かつては「ニュー野党」として連携も今は昔
維新と国民民主は、支持層も近くライバル関係にあったが、数年前は「蜜月」の時期もあった。
2021年には、維新が立憲民主や共産などを「批判ばかりのオールド野党」と呼び、自分たちと国民民主を政策提案もする「ニュー野党」と位置づけ、国会対応で連携するなど関係を深めていた。
このときは自公が衆参両院で過半数を確保するいっぽう、野党内では立憲民主党が野党第一党として主導権を握っていたため、維新や国民民主は互いに「敵の敵は味方」と言わんばかりに、両党で協力して立憲との違いを強調していたのだった。
しかし昨年10月、維新が連立入りすると、両党の関係は大きく変わった。
当初、高市首相が連立のパートナーとして考えていた国民民主は支持母体である連合が連立入りに慎重であったことも影響し、連立には入らなかった。玉木氏との協議がまとまらず、高市首相からのラブコールをかわしているうちに、維新は「副首都」関連法の制定や議員定数の削減などを連立合意に盛り込み、与党となったのだった。
その後、議員定数の削減は先送りとなっているが、維新が訴える高校無償化、「副首都」関連法の成立などを実現し、永田町では「自民に比べて圧倒的に議員数が少ないのに、かなり維新の要求が通っている。“コスパ”としては最強だろう」(野党議員)とみられている状況だ。
2021年の衆院選で国民民主が議席を伸ばし、共産を上回った際には周囲に「やっぱり批判ばかりでなく、政策を実現させる政党が支持を集めるんだよ。このやり方が正しいんだ」と誇らしげに語っていたこともあった玉木氏だが、今は政策実現において維新に先行されている状況だ。

