ただ黒であるだけで印象が変わり、どこかモードな香りを漂わせてしまいます。長らくトラッドファッションにおける「黒」は、イレギュラーな存在でした。しかし1980年代を境に、その認識は少しずつ変化していきます。今では黒は、多くの人々にとってごく身近で、欠かせない色となりました。となれば、しばらく距離を置いてきた私たちアメトラ好きも、そろそろ“黒”について真剣に考えるべき時が来たのかもしれません。むしろ、これまで遠ざかっていたからこそ見出せる新たな魅力があるはずです。今回は、あえて“黒”を軸に、いつもの『2nd』に登場するアイテムを紹介します。もちろん、トラッドなマインドはそのままに。特集に登場するのは、すべて“黒”です。
Masterpiece in Black 名作の黒

“黒”は一般的なファッションシーンで多用される一方で、トラッドの世界では意外と敬遠されがちな色でした。一見すると静かで控えめながら、装いの印象を最も強く左右するのはやはり黒。落ち着きの中に意志を宿し、全体を引き締める力を持ちます。今回はそんな“黒”を主役に据え、「インディビジュアライズドシャツ」や「エディー・バウアー」など、名門ブランドのマスターピースに宿る“黒”の魅力を紐解きます。
Trad Meets Black トラッドと黒。

伝統的なアメリカントラッドにおいて“黒”という色は決して身近な存在であるとは言えません。どちらかといえば、モードやパンクといった当時からすると前衛的なスタイルとの結びつきが強く、伝統的なトラッドを愛する者たちにとっては、敬遠されがちな色でした。そんなトラッドとあいまみえることのないように思える“黒”をいつものスタイルにサラッと取り入れてみると、これまでには感じえなかった新鮮なスタイルができあがります。