
静岡“東部”から全国の舞台を目ざす。Jクラブ内定のドリブラーはすべてを懸ける「最後にみんなで笑えるように」
プリンスリーグ東海の第14節・富士市立vs.帝京大可児の一戦。残留争いの大一番は4-1で帝京大可児が大きな1勝を手にした。
敗れた富士市立は、暫定で10チーム中9位。試合後、FW山﨑絢心は「苦しい状況ですが、みんなで乗り越えていくしかないと思っています」とその胸中を口にした。
エースとして、来季から藤枝MYFCに加入が内定している身として。今のチームの結果に山﨑が責任を感じることに無理はない。だが、その中で彼はプレーの幅を広げて、よりチームの勝利に貢献できる選手になろうとしている。
「ドリブルを武器にしていますが、僕がボールを持つと相手は2、3枚のディフェンダーを当ててきます。そうなると、どれだけドリブルがうまい選手でも剥がし切るのは難しい。もちろんドリブルは自分の絶対的な武器だと思っているので、それを貫くのは大事なことだと思っているのですが、やっぱりそればっかりではうまくいかない。周りをうまく活かしながら、要所でドリブルを出せるようにしないといけないと思っています」
山﨑のメインポジションはサイドハーフ。左右をこなすことができ、鋭い縦突破からのクロス、高速ドリブルでポケットまで進入していける仕掛けが武器だ。加速力が段違いで、スピードに乗ったら手がつけられない。この果敢なサイドアタックが評価され、2年生で静岡県選抜としてSBSカップに出場。今年はU-17日本高校選抜にも選ばれた。
J1、J2の合計5クラブの練習に参加し、いち早くオファーをもらった藤枝への加入を決めた彼は今、トップ下という新たなポジションに挑戦している。
「プリンス後期に入ってから、4-2-3-1のトップ下をやらせてもらうようになって、よりプレーの連続性を意識するようになりました。やっていくにつれて、動き出しがしやすく、裏を狙いやすい。ゴールも近くて、比較的自由にできるので、やりやすさを感じるようになりました。藤枝では、パスを出した後に止まってしまうところで『動きを止めないように』とプレーの連続性を指摘されたので、トップ下でプレーすることで、そうした課題も解消できるチャンスだと捉えています」
帝京大可児戦の週も藤枝の練習に参加するなど、チームと内定先を行き来することで大きな刺激も得ている。
「藤枝ではウイングバックがメインで、左右両方をやっています。今、トップでウイングバックをやっているシマブク(・カズヨシ)選手や川上(エドオジョン智慧)選手は運動量が凄まじいですし、自分が指摘されている『動きを止めない』という部分もきちんとできていて、守備で走ることもできる選手たち。来年からライバルというか、ポジション争いをする選手たちだからこそ、僕ももっと泥臭く、攻守において関われる選手にならないといけないと思っています。それに藤枝のトップ下を見ても、周りがしっかり見える選手が入っているので、僕もそこに食い込めるようになれば、もっと自分の可能性を広げられると思っています」
高校とプロ。自覚と責任感が増していく環境の中で成長させてもらった。山﨑には高校サッカーで成し遂げたい大きな目標がある。
富士市立がある静岡県東部地区からインターハイ、選手権に出場したチームは1つもない。サッカー王国・静岡を築いてきたのは、いつも静岡市、藤枝市を中心にした中部地区と、浜名、近年は浜松開誠館のある西部地区だった。
そのなかで富士市立は2019年にプリンスリーグ東海に昇格して以来、ずっとプリンスのステージで戦い続け、19年度には初の東部地区の選手権予選決勝進出を果たした(決勝で選手権全国制覇をした静岡学園に敗退)。さらに今年はJリーガーも誕生した。
悲願の東部からの選手権出場へ。山﨑は富士市出身で、清水エスパルスU-12三島、FC Fujiジュニアユース、そして富士市立とずっと地元でサッカーを続けてきた。
「富士市立自体もまだ一度も全国を経験していない。プリンスでは今、苦しい状況にありますが、まずはチームを残留させたい。選手権予選は、やっぱり僕らの代ですし、高校最後の大会でもあるので、最後にみんなで笑えるように、全国出場という良い結果で終われるようにしたいと思っています」
自分を育ててくれた地域、チームの歴史を塗り替えることで、さらに恩返しができるように。山﨑はドリブルという唯一無二の武器にさらなる磨きをかけながら、高校ラストランにすべてを懸ける。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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