日本スポーツの聖地・国立競技場の名前が変わる。2026年1月1日から、新たな名称は「MUFGスタジアム」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がネーミングライツ(命名権)を取得したことによるものだ。
契約期間は30年までの5年間。契約金は非公表だが、「年間20億円台、総額100億円を軽く超える過去最大規模の命名権契約」(社会部記者)とみられている。
国立競技場は、21年の東京五輪に向けて全面改修されたが、年間の維持費が24億円以上にのぼることから、長らく“負の遺産”と指摘されてきた。今年4月には新たに「ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE)」が設立され、運営を民間主導で進める体制が整えられている。
「JNSEはNTTドコモ、前田建設、SMFLみらいパートナーズ、そしてJリーグが設立した会社で、55年3月までに国立競技場側へ528億円を支払う契約を結んでいます」(同記者)
民間による運営となる以上、赤字経営は許されない。収益確保のため、スタジアム内のVIPルームなどにも命名権を導入する方針だという。
ただし課題も多い。「冬は寒く、夏は暑すぎる。座席も狭く、観客の快適性に欠ける点は改善されていません」(サッカー担当記者)と指摘される。さらに、年間120日稼働を目指すとされるが、「コンサート開催が増えれば芝生の劣化は避けられず、“選手ファースト”の理念が損なわれる懸念もある」(同記者)という。
名称変更後の初イベントは、1月1日に開催される女子サッカー・皇后杯決勝。華々しい船出とは裏腹に、MUFGスタジアムの前途は決して平坦ではなさそうだ。
(小田龍司)

