最高気温が40度を上回る「酷暑日」に迫る暑い日が連日のように続く日本の夏。熊本地震の被災地でも厳しい暑さへの対応が求められるなか、命を守るために欠かせないエアコンが、7月から8月の繁忙期に突然故障し、修理や交換まで数日から数週間待ちを余儀なくされるケースが相次いでいる。
室内での熱中症を避けるため、一時的にビジネスホテルで生活を送ったり、ペットをホテルへ預けたりする人もいるという。なぜ猛暑のさなかに迅速な対応が難しいのか。現場を取材した。
職人不足、依頼集中で…長ければ1か月待ち
静岡県浜松市や三重県桑名市などでは40度を超える気温を観測するなど、全国的に危険な暑さが続いている。
こうしたなか、X(旧Twitter)には、エアコンが突然故障し、猛暑のなかで対応に追われる人たちの切実な声が相次いで投稿されている。
「エアコン壊れたんだが…。今日の最高気温36度だよ。死んじゃうよ」
「この暑さの中エアコン壊れてるのが一番の問題…」
なかでも多いのが、修理や交換まで長期間待たなければならないという投稿だ。
「自宅のエアコンがついに壊れた様です。新しいエアコンに替えてもらうことは決まりましたが、工事日が最短で8月なので10日以上サウナ状態で過ごさなければなりません。作動するのは送風のみです」
「エアコンが壊れて室温37℃で生き延びる方法を急募。マジで昨夜一睡も出来ませんでした。修理・交換の業者はこの時期予約がいっぱいで手配に10日以上かかる模様」
実際、取材を進めると、暑さに耐えられず一時的にビジネスホテルへ避難したり、ペットをホテルへ預けたりして修理を待つケースも出ていた。
こうした事態が起きる背景には、工事を担う職人の不足に加え、猛暑による依頼の集中がある。
「家電量販店でエアコンの交換を頼んだ場合、2〜3週間待ち、地域や案件次第では長ければ1か月待ちになることも珍しくありません。弊社の体感ですが、これは10年前から大きく変わっておらず、少なくとも当社が扱う案件では原因は製品の在庫ではなく、工事を行う職人が足りていないことです」
こう話すのは匿名を条件に答えてくれた業者Aの40代男性だ。量販店からの下請け工事やインターネット経由の緊急対応を行っているという。
男性によると、夏場は依頼件数が他の季節の2〜3倍に増え、多い日には1日8〜10件の現場を回るという。
「量販店では新品への交換依頼が中心ですが、対応しきれない案件が私たちのような業者にも流れてきます。夏は毎年依頼が集中するため、どうしても待ち時間が発生してしまいます」
「エアコンが冷えない原因は冷媒ガスが減っていることだけではありません」
主に修理を手掛ける「松本総合サービス」の担当者も、現場の厳しい状況を明かす。
「メーカーも人手不足で、通常の家電修理にエアコン修理が重なり、対応が追いついていないと感じます。過去にはメーカーへ依頼したものの、修理に来たのが9月だったというお客様もいました。その間、暑さに耐えられず、ペットのウサギを一時的にペットホテルへ預けていたケースもありました。
少ない日でも問い合わせは20件、多い日には30〜40件に上ります。1日に6〜8件のお宅を回っていますが、それでもすべてにすぐ対応することは難しい状況です」
こうした状況に便乗した悪質業者とのトラブルも後を絶たない。
前出の「松本総合サービス」の担当者は、技術力の差がトラブルにつながるケースも少なくないと指摘する。
「エアコンが冷えない原因は、冷媒ガスが減っていることだけではありません。しかし、原因を十分に調べず、『ガスを補充すれば直る』として作業を進める業者もいます。中には高額な料金を請求したうえ、実際には十分な作業をしていないような悪質なケースもあります。修理を依頼する際は、料金だけでなく、実績や口コミなども確認して十分な説明を受けて業者を選んでいただきたいですね」

