学生お笑い出身の芸人との違い
—どういうところが器用なんでしょうか?
学生お笑いは、部活動とかサークル活動でお笑いをやること自体が、青春ということじゃないですか。青春でお笑いをやっていた、学生お笑い出身の人たちって。
だから、人を笑わせる術とか、これをやったらウケるみたいなのがめっちゃ上手いというか、鍛えられて備わってる感じがするんです。だけど、学生お笑い出身じゃない芸人は、別のものに青春してきた、お笑いじゃないものに。
だから何かお笑い以外にも面白さを見出して、それを面白いと思ってる人間だから、なかなか最初はお客さんに合わせにくいとかはあるのかなとは思うんですよ。
—なるほど。佐々木さんの場合は青春をかけてきたものが野球で、そこでの面白さやウケることが基準になっていた。
そうですね。ただその分、学生お笑いの人たちにはない「俺はこれが面白いと思うんだ」っていうのがあるから、彼ら彼女らに負けないものを持っている自信もあるんですよ。学生お笑い出身の人たちは「お笑いファンが笑うこと」「ファンが面白いと思うこと」をするのはうまいけど、自分が面白いと思っていることをするのは、俺らのほうが向いてるみたいな感覚というか。
—すごくわかりやすいです。エバースはなかなか漫才で結果が出なくても「まだまだアウトプットのやり方が下手なだけで、もっとやったらもっと絶対に上手くなるだろう」と考えていたとも佐々木さんはおっしゃっています。それは確固たる自信ですよね。
でもそれって、M-1で決勝に行くっていう結果が出たから持てた自信の気もしますが(笑)。まあでもそうですね、自分のやり方で間違ってないんかな、みたいなものはある気がします。
後編「芸人として絶対にしたくないダサいこと」へつづく
取材・文/西澤千央 写真/垂水佳菜
『ここで1球チェンジアップ』(太田出版)
佐々木隆史 エバース
2026年7月14日1980円(税込)240ページISBN: 978-4778341404憧れの甲子園には届かなかった。でも、芸人という次の夢を見つけた——『M-1』2年連続決勝進出のエバース・佐々木隆史の初エッセイ!
●宮藤官九郎 推薦!
「共感しかない」
エバースの漫才が大好きな理由が良くわかりました。
ここは世界の中心じゃないし、自分は主人公じゃない。
そう思って生きて来た人間の「恥ずかしい」に対する異常なまでの警戒心。
なるほどな。町田くんは、恥ずかしい世界に押し出された生贄なんだな。
『M-1グランプリ』2024、2025と2年連続で決勝進出を果たしたお笑いコンビ・エバース。
そのネタ作り&ボケ担当である佐々木隆史が、自身の半生を綴った初のエッセイ集が刊行。

