記録的な暑さが続き、日中の外出や屋外レジャーにも注意が必要となるなか、ホテルやレジャー施設ではナイトプールの営業が始まっている。日差しを避けて水に入れる夏のナイトプールだが、都内の施設を訪れると、泳ぐ人の姿はほとんど見当たらない。いったい、何が行われているのか? 現地を訪れるとともに、“港区女子系コラムニスト”の妹尾ユウカ氏に、その背景を聞いた。
“暑いからプール”が通用しなくなっている
厳しい暑さが続くなか、プールを利用する時間帯によっては、体への負担も大きくなる。文部科学省によると、屋外のプールサイドは直射日光や地面からの照り返しによって高温になりやすく、水中でも発汗によって脱水状態になることがあるという。
実際、都内の公共プールには、水温が35度を超えた場合や、気温と水温の合計が70度を超えた場合に利用を中止する施設もある。プールに入っているからといって、暑さを避けられるとは限らないようだ。“暑いからプールへ行く”という夏の常識そのものが、見直されつつあるのかもしれない。
そこで、選択肢のひとつとなるのが、夕方以降の利用だ。日差しが弱まり、日中よりも比較的快適に過ごせるのがナイトプールの良さである。
もっとも、プール付きのホテルや、夜間も開放している市民プールに問い合わせると、7月現在、最も混み合うのは朝から日中にかけてだという。夕方以降は子どもだけでは利用できない施設があるほか、夜間営業を週末に限定しているケースも少なくない。
8月から平日にも営業日を広げる施設が多いため、ナイトプールの本格的な客足のピークは、これからとみられる。
営業日が限られていることに加え、ホテルに併設されたナイトプールには、料金面でのハードルもあるという。以前は毎年のように利用していたという都内在住の女性(34)は、現在はナイトプールから足が遠のいたと話す。
「入場料は決して安くないですし、飲食代もホテル料金なので、誰かに連れて行ってもらわない限り、自分から行こうとは思いません。以前ほどインスタ映えに興味がなくなり、“映える身体”でもなくなったので、わざわざ行きたいとは思わないですね。写真を撮らないなら、ナイトプールに何をしに行くんだろう、というイメージです」
実際、ホテルに宿泊せず、ナイトプールのみを利用する場合、入場料は1人6000~1万円ほどに設定されている。例年ナイトプールを開催している都内のラグジュアリーホテルに利用状況を尋ねたところ、確認時点の利用者は宿泊客5組ほどにとどまり、外からの客はいなかったという。
また、先日、恋人と都内のホテルに併設されたナイトプールを利用したという22歳の女性は、客層に対して良い印象を持てなかったと振り返る。
「際どい水着で撮影する女性が多いし、ナンパ目的に見える男性もいました。恋人と行きましたが、デート向きの場所だとは思いませんでした。友達同士ならまだ楽しめると思いますが、家族旅行や今後のデートでは利用したくないですね」
高額な料金に加え、“映え”を競うような雰囲気や、ナンパ目的に見える客層への抵抗感も、ナイトプールへ足を運ぶうえでのハードルになっているようだ。
泳ぐ人はほとんどいない、浅いプールで続く撮影会
こうした“ギラついたナイトプール”への抵抗感を受け止めるように、女性客中心のゆったりした撮影空間も存在する。浅瀬のプール内にあるのは、ドリンクや撮影機材を置くためのテーブルや椅子だけだ。しかし、立地や料金設定はホテルのナイトプールと大きく変わらない。
ナイトプールのメインの時間帯となる午後8時台に訪れると、プールはピンクや青色の照明で照らされ、水着姿の若い女性たちはスマートフォンを向け合い、立ち位置やポーズを変えながら撮影を繰り返していた。泳いでいる人の姿は、ほとんど見当たらない。ここではプールが、泳ぐ場所というより、夏らしい写真を残すための“舞台”になっているようだった。
では、なぜ海でも大型ホテルのナイトプールでもなく、あえて浅く小さなプールを選ぶのか。4人組で訪れていた都内のキャバクラに勤務する女性(20)は、同施設を選んだ理由をこう話す。
「ここは人が少なくて、映えるプールなので、人目を気にせず撮影できて使いやすいです。以前、“映え”目的でホテルのナイトプールに行ったことがありますが、今年はまだ行っていません。普通のプールや海では、撮影するときに周りに気を遣いますし、海だと風ですぐに髪型が乱れます。顔が濡れると化粧も崩れるので、今のところ行く予定はないですね。暑くても、泳ぎたいと思ったことはありません」

