
山田洋次監督、倍賞千恵子と木村拓哉らが出演する映画「TOKYOタクシー」が、11月21日(金)より公開される。このほど、本作の撮影現場レポートとメイキング写真が公開。また、クランクアップを迎えた倍賞と木村からのコメントも到着した。
■人生の喜びを謳いあげる奇跡と希望の物語
山田監督の91作目となる本作は、2023年に日本でも公開されたフランス映画「パリタクシー」を原作に、舞台を刻々と変化する大都市・東京に移し、人生の喜びを謳いあげる奇跡と希望の物語。
「男はつらいよ」シリーズのさくら役をはじめとして、山田作品には欠かせない倍賞千恵子が、終活に向かうマダム・高野すみれを演じ、「武士の一分」以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉が鬱々とした日々を送るタクシー運転手・宇佐美浩二を演じる。
その他、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、笹野高史、小林稔侍、マキタスポーツ、そして韓国の俳優、イ・ジュニョンなど多彩なキャストが集結。加えて、明石家さんまと大竹しのぶが声の出演をしている。
今回解禁されたメイキング写真には、倍賞と木村、山田監督がロケ撮影中に談笑する様子や、木村がタクシーを運転する様子、また、すみれの若き頃を演じる蒼井優とイ・ジュニョンがダンスホールで踊る様子、そしてクランクアップを迎えた山田監督が倍賞とハグを交わす様子など、熱い思いをもって撮影に臨むキャスト陣の姿が写し出されている。
■木村は、実際のタクシー運転手から指導を受けて役作り
2025年2月にクランクインした本作は、柴又や横浜でのロケ撮影に加え、本編の大半を占めるタクシー走行中の車内シーンでは、LEDパネルに車窓の風景を映して撮影する“バーチャルプロダクション”という山田組にとって初となる技術も活用された。
倍賞の初日となった2月5日には、すみれが高齢者施設に向かうために家を出てくるシーンからスタート。「どことなく謎めいたお金持ちのマダム」という、これまで山田組で演じてきた役柄とはまったく違う人物像を演じる倍賞は、あざやかな紫色のコートとサングラス姿で、司法書士役の笹野高史との軽快なやり取りを繰り広げた。
午後には木村も合流し、柴又帝釈天の山門前に着いた浩二のタクシーにすみれが乗り込むシーンを撮影。クランクイン前に実際の個人タクシーの運転手から指導を受けた木村は、「最初のテスト撮影から運転してみてもいい?」と、トランシーバーでやり取りしながら実際のコースを走行。本番の撮影も、一発OKで決めた。
■慣れない技法の撮影でも一発OKの木村
2月17日からは、2週間ほどかけてバーチャルプロダクションスタジオにて撮影。木村は、LEDウォールに流れる車窓の風景に合わせてウィンカーを出したりハンドルを回したり、カメラが正面にある時は、映っている道をわずかな隙間から見ながら運転するなど、慣れない撮影方法の中でもタクシー運転手役を見事に演じきった。
制作発表会見で「木村くんの素の魅力を盗み撮りたい」と語っていた山田監督は、車内での会話シーンにこだわり、台本を書き直したり何度もテイクを重ねた。木村と倍賞もそれに応えたことで、とても印象的なシーンとなった。
撮影の待ち時間には、倍賞と山田監督の会話に木村も加わり、3人で並んで話す姿がたびたび見られた。何日もセットにこもって続く撮影でも、2人は大変そうな様子を全く見せず、劇中ですみれと浩二の距離がだんだんと縮まっていったように、彼らも3月に入る頃にはおいしい店を教え合ったりするなど、すっかり打ち解けていた。
また、山田監督はすみれの夫・小川(迫田孝也)のキャラクター造形にかなり腐心し、知人の精神科医に話を聞いたり、セットの飾りを何度も考え直したりと工夫を凝らした。現代パートとは画調も撮り方も変えている。

■オールアップで、倍賞が監督にハグ
オールアップとなる最後の撮影は、若き日のすみれ(蒼井優)とキム(イ・ジュニョン)がダンスホールで踊るロマンチックなシーン。横浜の古いダンスホールを借りて撮影された。蒼井とイ・ジュニョンは、ダンス指導が1日のみで全体を合わせて当日を迎えた。
山田監督が「優ちゃんとのキスシーンもあるんだよ」とからかい、恐縮していたイ・ジュニョンだが、撮影になると真剣そのもの。頼りがいのある彼との撮影に蒼井も楽しそうな様子だった。
無事にオールアップを迎えた現場に、サプライズで倍賞と迫田が訪問。クランクアップの花束が倍賞から手渡されると、山田監督は50年以上の付き合いになる倍賞と熱いハグを交わした。
山田監督は、「今までいろんな映画を撮ってきたけど、今回はひとしおだね。無事にこの日を迎えられるか、クランクインの時は心配だった。だけど、スタッフの力でここまでたどり着くことが出来ました。どうもありがとう」と帽子を取って頭を下げた。全キャストとスタッフが真剣に、かつ和やかに仕事をした2ヶ月間だった。

■映画「TOKYOタクシー」ストーリー
宇佐美浩二(木村拓哉)は、毎日休みなく働けど、娘の入学金や車検代、家の更新料など次々にのしかかる現実に頭を悩ませているタクシー運転手。そんな彼のもとに、85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山の高齢者施設まで送るという依頼が舞い込んだ。
最初は互いに無愛想だったが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがある」と浩二に寄り道を依頼。東京のさまざまな場所を巡りながら、彼女は自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が2人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる。

■倍賞千恵子 コメント
「もう撮影に来なくていいのか」という気持ちと、「終わってしまって寂しい」という複雑な気持ちで、わーい!という気持ちになかなかなれないのは、とても不思議です。
私はいつも、映画は照明さんやカメラマンさんなど全員が同じスタートラインに立って、「よーいスタート!」で一つの山を登っていくことだと思っています。久しぶりの手応えを感じる山田さんの演出で、素敵な山登りができたと思っています。こんな素敵なスタッフの皆さんに会えることはなかなか無いと思います。

■木村拓哉 コメント
今回の作品での撮影現場での自分の役割や責務はひとまず終わりました。「TOKYOタクシー」という駅伝のコースがあったとしたならば、宇佐美浩二というキャラクターの部分の区間を走りきって、次の走者にたすきを繋いだという気分です。
他の作品はクランクアップの時に“終わった”という作品との決別のような、作業の終了をいつも感じるのですが、今回に関しては、たすきを繋げてよかったなという気持ちです。


