「ポンコツだな」「3時間睡眠で仕事は回せるだろ」…隠ぺいの指示も
手記によると、西日本の地検に所属し約10年の検察官キャリアがあった男性は2023年、大阪地検特捜部で約1カ月間、脱税事件の実務をこなしながら処理を学ぶ研修を受けた。その際、被疑者が容疑の一部を否認し、それを聞いた教官のキャップ、A検事が連日のように
「退屈な調べしやがって。お前、ポンコツだな」
「今まで仕事をサボってきたからろくな調べができない」
「3時間睡眠で仕事回せるだろ。俺もそういうようにやってきた」
と人格を否定するような罵倒を浴びせたという。さらに、被疑者が否認しているのにA検事の見立てに沿う“作文の自白調書”を作成するよう指示され、容疑に疑問を抱かされる内容の録音データが見つかると「隠蔽しろと指示された」と書かれている。
精神的に追い詰められた男性は指示に従ってしまうが、罪悪感から先輩検事に打ち明け、この先輩の助言で特捜部副部長にも報告。しかしA検事から「お前が刺すならこっちもきっちりやるからな」と恫喝され、研修終了後に心身の健康を失い退職を決意したという。
退職前にこのことを大阪高検次席検事に報告し調査を求めたものの、高検は数か月後、
「パワハラはあったと認定した。証拠隠しは、そのように男性検事が勘違いしてしまう発言があった。Aの言動は問題だがパワハラと認定したのは1回目だから今回は許すことにした」
と伝え、不問に付したとしている。
男性は手記を検察組織を改善するためのひかりさんの活動に活用してもいいとしながら、自分の特定につながることは伏せてほしいと求め、その理由を「検察庁に関わりたくないし、国家権力に反旗を翻したらどのようなことになるのか不安で仕方がないからだ」とつづっている。
「対応できなかった畝本さんはひどいトップだと思います」
手記を紹介したひかりさんは、2017年まで約5年間に5人の検事が自死した記録を示し、
「一生懸命、被疑者、被害者と向き合って仕事をしている職員はたくさんいます。その職員が安全に仕事ができる環境を整えるのは検察組織の役目だと思います。
しかし万能感や選民思想、認知の歪んだ人たちが幹部職員にはびこり、真面目にやってる職員を大切にせず、自分たちの価値観で違法捜査も何の躊躇もなく押し付けたり、被害者の声も聞かずに職務怠慢で不起訴にしろっていう指示もあります。そう言ってどんどん本当に懸命に働く職員を辞職や自死に追い込んでいっているありさまだと思います」(ひかりさん)
と検察の体質を厳しく批判した。
朝日新聞によれば大阪地検と大阪高検は3日、この手記に対しいずれも「『手記』の内容を把握しておらず、現時点ではコメントできない」と回答したという。
不祥事が続出する中、畝本検事総長が去ることにひかりさんは、
「畝本さんの時代だから問題が起きたのではなく、脈々と続いていました。それが表に出続けているのに対応できなかった畝本さんはひどいトップだと思います」
と話した。組織が人命や人生を左右するほどの問題を起こせば第三者が調査を行なうのは今や常識だ。検察だけがなぜ例外を主張できるのか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

