通帳を見せる前に伝えるべきだった
翌日、俺は待ち合わせに早く着き、バッグの中の通帳を確認しました。
倉庫で段ボールを扱ううちに切った指には、絆創膏がいくつも貼られています。彼女が来ると、俺は通帳を開きました。
「引っ越しのお金、先に貯めておきたかったんだ」
心配をかけたくなかったのは本当です。ただ、まとまった額を見せて驚かせたいという、自分の満足を優先していた面もありました。
彼女は通帳より先に俺の指を見てから、「隠されるほうが、ずっと不安だよ」と言いました。
喜ばせる場面を考えるあまり、そこへ至るまで彼女が抱える不安を見ていませんでした。
そして...
俺は彼女と相談し、倉庫のシフトを減らしました。
予定していた金額が貯まるまでの期間は延びましたが、疲れている日や仕事が遅くなる日は、先に伝えるようにしています。
今も返事が短くなる日はあります。それでも、「今日は仕分けに入る」「帰ったら話す」と、彼女が理由を想像しなくて済む言葉を添えています。
引っ越し資金は、俺だけが通帳の中で作る目標ではなくなりました。今は2人で金額と働き方を確認しながら、無理のないペースで貯めています。
(20代男性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
