小さな口に合わせて変えてきた味
思い出したのは、娘がまだ小さかった頃の台所です。肉じゃが、からあげ、豚汁。子どもの頃からあの子が一番好きだったおかずは、初めから今の味だったわけではありません。にんじんを残せば切り方を変え、味が濃いと言えば甘めに直して、あの子の舌に合うように、昔から何度も作り直してきた味です。だから、きっと娘が気に入ると思うのです。翌週から箱を小さくして、代わりにその作り方をカードへ書き写しました。分量の横に「うちの味。あなた好みに甘め」と添え、最後の1枚に「作れるようになったら、送るのはやめるね」と書いて、封筒の表の「困ったら開けてね」ごと箱の底に貼りました。
そして...
数日後、娘から電話が来ました。「今度、家帰るね」私が料理作れるの見せてあげる、と言うので、思わず笑ってしまいました。荷物を詰めるのはこれで終わりにします。その代わり、帰ってきた娘と台所に並んで、2人で料理を作るつもりです。心配は尽きませんが、想いの渡し方は変えられるのだと、娘に教えてもらいました。
(50代女性・パート)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
