軍手を外して、目を閉じた
当日の彼は上機嫌で肉を焼き、私は運ばれてくる皿を並べ続けました。片付けの気配が出はじめたところで、私は軍手を外して言いました。
「疲れたから、あとよろしくね」
返事を待たずに、背もたれを倒しました。薄目で見ていると、彼はトングを置き、先にゴミ袋を広げました。それから炭に水をかけ、洗い場を何度も往復していました。文句は、最後まで聞こえてきませんでした。
そして...
帰りの車で、ハンドルを握った彼が口を開きました。
「俺、あの日こう見えてたんだな」
「ごめん。全部押しつけてた」
私は窓の外を見たまま答えました。
「次はないよ」
それから彼は、出かけた帰りに先へ寝ることはなくなりました。荷物を分け合えない人と、この先を分け合えるとは思えません。変わってくれたのかどうかを、私はまだ確かめている途中です。
(20代女性・販売職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
