4つのテーマで解き明かす「ブラック・ジャック」の世界
(C)Tezuka Productions
展示は全4室構成。部屋ごとにフォトスポットやキャラクター展示を交えながら、『ブラック・ジャック』の世界を立体的に体感できます。
「ブラック・ジャック」誕生の裏側へ
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第2室では、手塚先生のアトリエを再現したブースや、医学ノート、博士論文などの貴重な資料を展示。『ブラック・ジャック』第1話の原稿や、作品誕生の秘密を語る関係者の証言映像など、創作の原点に迫ります。
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マンガ『ブラック・ジャック』の140話分もの原稿がずらりと並ぶ第3室は、まさに圧巻。これだけのエピソードの原稿が展示されるのは史上初のこと。
ブラック・ジャックの高額請求の謎に迫る「命vs金」、全ての命に真摯に向き合う「人でないものの命」など、作品の根底にあるテーマごとに展示されており、ストーリーの多様性と奥深さに圧倒されます。
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現代と昭和をつなぐ“命の物語”
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第4室では、当時の読者を魅了した“人体の手術シーン”を現代アート的な手法で再構成するなど、『ブラック・ジャック』の魅力を今と当時の視点から深堀り。
また、連載当時の社会事件やニュース映像と共に、時代背景から作品を読み解く展示も。“医学”と“社会”の両面から、『ブラック・ジャック』のメッセージが浮かび上がります。
iPS心臓開発者・澤芳樹さんが語る、現代医学と「ブラック・ジャック」
手塚先生と同じ大阪大学医学部出身の澤さんにとって、手塚先生はまさに偉大な先輩。学生時代、学園祭に手塚先生を招いた際に聞いた言葉が今も忘れられないといいます。
「医者になる前にもう一度、何のために医者になるのかというのを考えてください」
このメッセージは、今でも医師としての原点になっているのだそう。そんな澤さんが、『ブラック・ジャック』で印象に残ったエピソードを教えてくださいました。
現代のロボット手術と重なる手術シーン
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作中でブラック・ジャックが鏡に映る自分を見ながら自分自身を手術する場面について、澤さんはこう語ります。
「医療技術がいろんな形でもっと進化していくことを手塚先生は期待していたんだと思います。あれは、今だとロボット手術に通じると思うんです。開腹はしませんが、3Dの映像を見ながら操作して手術するんですが、外科医的なエッセンスからいうと、鏡に映っている自分自身を見ながら手術するシーンと、ロボット手術のシーンが重なって見えます」
iPS細胞からピノコが……!?
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「ブラック・ジャック」に欠かせない存在、ピノコについても興味深い視点を示します。
「ピノコはもともと“奇形腫”という良性の腫瘍なんですが、その奇形腫の中には髪の毛や腸の細胞があったり、骨があったりします。それをブラック・ジャックが取り出してさまざまな臓器を組み立て直し、息を吹き返したのがピノコなんです」
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そんなピノコが、iPS細胞をイメージさせるといいます。
「iPS細胞はどんな身体にも、どんな細胞にもなる遺伝子を持っています。もしもiPS細胞をそのまま身体の中に移植すると、ピノコのもとになった腫瘍になるんです。僕らはiPS細胞で何をしているかと言うと、どんな細胞にもなるiPS細胞をコントロールし、心臓の細胞にしかならないように工夫して調整し、iPS心臓を作っています。だから僕の解釈ですが、手塚先生はiPS細胞の出現を想定していたのではないか、と……」とイメージを膨らませていました。

