今年も始まったクライマックスシリーズ。今年のファーストステージは順当にレギュラーシーズンで2位のチームが勝ち上がったが、昨年は3位だった横浜DeNAベイスターズが日本一になり、「納得がいかない」と言う人も多かった。存続に賛成の声もあるが、野球解説者のエモやんこと江本孟紀さんは、はっきりと廃止を提言。
書籍『ベンチには年寄りを入れなさい』(ワニブックス)より一部を抜粋・再構成し存続派の賛成理由をぶった斬る。
クライマックスシリーズは歴史的役割を終えた
賛否両論。それがクライマックスシリーズ(CS)に対する評価だ。
反対意見は、なんといってもリーグ優勝していないチームが日本シリーズに出場することへの拒否反応だろう。
短期決戦の結果は時の運。せっかく長く苦しいペナントレースを勝ち切ったチームが、おまけのようなCSに負けて、ガックリと肩を落とす選手たちは気の毒すぎる。
アドバンテージを手厚くするという案もあろうが、むしろ私はCSはもう歴史的使命を終えたので、廃止すればいいと思っている。
CS存続への賛成理由に対して反論していく。
【理由①】ビッグイベントによってライトな野球ファンを引き込むきっかけになる。
→日本シリーズはともかく「CSなら見たい」というファンはもういない。
【理由②】CSがあるおかげで消化試合を減らせる。
→今や消化試合でも客は入る。2~4位の順位争いへの関心は高くない。
【理由③】大きな収益になっている。
→地上波放送なしのケースもある。CSでなくても試合を増やせばいい。
確かにパ・リーグが瀕死だった頃、理不尽なプレーオフをやることで、消化試合が減った。2~4位の順位争いも盛り上がった。
それをセでも導入して、ふだんは放送しなくなったプロ野球中継が注目されたこともあった。
しかし、もはや野球に興味のない人にとっては、CSも「予選」でしかない。そして、もはやCSは日本シリーズの価値を下げる効果しかない。
バッサリとCSを廃止してしまえば、「CSをスッキリさせるために16球団に」といった、トンチンカンな意見もなくなるだろう。リーグ優勝は6チームで争うのがベスト。ポストシーズンはプライドを懸けて白熱する日本シリーズがあればそれで十分だ。
CSをやっていた時間が余るというのなら、新アジアシリーズ、リアルワールドシリーズを実現して、それに当ててほしい。
ベンチには年寄りを入れなさい
江本 孟紀
2025/8/221,045円(税込)192ページISBN: 978-4847067181日本のプロ野球、本当にこのままでいいのか!?
・選手の「幼稚化」「無個性化」
・「オヤジ的監督」の減少
・「まずはメジャーリーグから」が多すぎるスポーツニュース
・勝負はデータ頼み
・やたらと「若返り」を図ろうとする風潮
など、何かと時代に流され気味な日本の野球界に、球界のご意見番・エモやんが待ったをかける!
最近のプロ野球が何となくつまらく感じている方、またはあらゆる「時代の流れ」に疑問を感じている方、ぜひ手に取ってみてください。

