車いすテニス・世界ランキング1位で今年、「生涯ゴールデンスラム」を達成した現役トッププレーヤーの小田凱人と、元世界ランキング1位で生涯ゴールデンスラムのほか、年間グランドスラムを計5回達成し、2023年1月に第一線を退いた国枝慎吾さん。“新旧レジェンド”の2人が、100回目という節目の大会を迎えた「三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権100th Supported by 橋本総業ホールディングス」のエキジビションマッチに登場した。(以下、敬称略)
SNSなどでは“1日限りの夢のダブルス”と銘打って告知されていた聖地・有明コロシアムで実現
歴史ある全日本の記念事業。車いすテニスがエキシビションに選ばれたこと自体に驚かされたファンも少なくないのではないか。一般のテニスを観ることが好きだという小田が「呼んでいただけたことがうれしい」と話したのは、心からの言葉だろう。
大会最終日の10月12日、有明コロシアムで行われたエキジビションマッチ国枝も、感慨深げに語った。
「2004年にアテネパラリンピックの男子ダブルスで金メダルを獲得後、(ダブルスパートナーだった)齋田悟司選手と有明コロシアムでエキシビションマッチを行ったことを思い出す。(当時は認知されていなかったが、今は観客が)車いすテニスを知っているという現状に感動しています」とコメント。約20年の間に、知名度や競技レベルを含めた、車いすテニスを取り巻く環境が大きく変わったことを実感させられた。
小田が国枝にラブコール
今回実現した“夢のダブルス”は、小田の「一緒にプレーしてもらえませんか?」というラブコールから始まった。「国枝さんに、シングルスで勝ちたいというのと同じくらい、ダブルスを組んでみたいという気持ちがありました」と小田は言う。
貫禄漂うプレーを見せた国枝現役を退いて約3年の国枝は、「(練習を)ほどほどにサボってきた」と言い、「ラブコールを受けてちょっと『どうかな』と思ったんですけど、(小田が)ゴールデンスラムを達成したので、花を添えようと受けさせてもらいました」と明かし、2週間で計4回練習し、コンディションを整えて当日を迎えた。
2人がタッグを組むのは、2022年にポルトガルで行われたワールドチームカップ以来。国内では初めてという新旧レジェンドペアが入場すると、大きな拍手で観客に迎えられた。
小田のショットがアウトになると、目の肥えた観客からはため息。車いすテニスが認知されていなかった20年前と全く違う反応だったに違いない