エキシビションながら真剣勝負
対する相手は、前日発表された、眞田卓と三木拓也のペア。眞田はパリ2024パラリンピックの後、日本代表から退いた車いすテニスプレーヤー。パリで小田とペアを組んだ男子ダブルスで銀メダルを獲得した三木は、現在も世界を転戦するトッププレーヤーだ。
好ゲームを演出した眞田(左)と三木約40分間のエキシビションは、小田のサービスゲームからスタート。小田の代名詞でもあるサーブに加え、国枝のバックハンドも健在だ。
しかし、眞田・三木も応戦する。過去にパラリンピックでベスト4に入った2人は、特別なエキシビションにふさわしい連携を見せ、観客から拍手を受けた。
「最初は(エキシビションなので)マイクをつけてやるという話もあったんですが、お客さんが見たいのはそれじゃないだろう」という国枝の案で真剣勝負が繰り広げられた実は、小田が15歳でプロ宣言した年、初めて日本代表として戦ったワールドチームカップのメンバーが、国枝、眞田、三木だった。当時の小田にとって、憧れであり、道しるべになった3人が揃い、「そこに自分が入っているのが不思議な感じがした」と小田は懐かしそうに語った。
記者会見で笑顔を見せる(左から)三木、眞田、小田、国枝エキシビションマッチは、眞田・三木リードのまま、終了時間となり、勝敗はつかなかった。「国枝・小田ペアは『魅せなきゃ』というプレッシャーは絶対にあったと思う。そんな中、お客さんに車いすテニスを見てもらえて本当にうれしかった」と三木は高揚感を漂わせた。
眞田も「車いすテニスのレベルがどんどん上がっている中、(観客に)白熱したゲームを見て楽しんでもらえるというプレゼンができたのではないか」と手ごたえを語った。
がっちり握手を交わした19歳と41歳の“新旧レジェンド”夢のダブルスを振り返り、「普段の試合と違った高揚感があった。少し空回りしてしまった」話した小田。国枝のプレーについて、「引退された方とは思えない。バリバリだった」と話し、国枝は「彼の一番の武器である、相手のラケットをはじくほどのパワーは、隣にいてすごいと思う瞬間がたくさんありました」と称賛した。
記者会見では、長きにわたって車いすテニス界をけん引してきた国枝ならではの激励の言葉も光った。
国枝とのペアは「緊張するとは違う、また別の新しい感じ」と語った小田「彼(小田)が出てきたことで、車いすテニスが認知されるところから、今度は人気というところに持っていけると思う。ここから先は、僕は知らないです。あとは彼らがどう発展させていくか楽しみながら見ていきたいです」
さらに、「車いすテニスの大会でエキシビションマッチをするなら?」という質問に対し、「車いすの大会の中だったら、車いすでお客さんを集めるのが一番大事。まずは車いすだけでもきちんとお客さんが入るように、彼らが頑張ってくれるんじゃないかなと思います」
車いすテニスでスタジアムが満員になる日は近いのか。彼らの人気がますます高まり、満員の中で好プレーを連発する姿を想像せずにはいられない、特別なエキシビションマッチだった。
試合後に行われたサイン会も盛況だったtext by Asuka Senaga
photo by Takamitsu Mifune
