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【日本三大やきとり】『東松山やきとり』はなぜ  “鶏肉” じゃないのか? 誕生の歴史に隠された「時代の流れ」と「絶大なる地域貢献」

【日本三大やきとり】『東松山やきとり』はなぜ “鶏肉” じゃないのか? 誕生の歴史に隠された「時代の流れ」と「絶大なる地域貢献」

「日本三大やきとり(の街)」をご存知だろうか? それは北海道の「室蘭やきとり」(北海道室蘭市)、そして四国・愛媛の「今治焼き鳥」(愛媛県今治市)。そして最後のひとつが埼玉の「東松山やきとり」(埼玉県東松山市)である。

室蘭・今治は都内からそう簡単に行ける距離ではないのだが、東松山なら行ける! そもそも有名であることを知りながら1度も食べたことがないので、実際に東松山に赴いてその味をたしかめた。

そうしたところ、今さらで大変恐縮なのだが、鶏肉じゃなかった! ぼんやりとは知っていたけど、味わってみて衝撃を受けた。

・鶏じゃないやきとり

早速、東武東上線東松山駅にやってきたのだが、昼から営業しているお店は少ない。やはり やきとりといえば、酒のツマミというイメージが強いので、15~16時頃の夕方から営業を始めるお店がほとんど。

そんななか12時から営業(テイクアウトは11時~)していたのが、駅前の「さいたまや 東松山駅前店」だ。看板に「みそだれやきとり」と書かれているので、ここでも食べられるはず。

店頭に顔ハメパネルがあったので、記念撮影したかったけど、1人じゃ撮れんかった……。東松山市にある埼玉県こども動物自然公園にちなんで、コアラとフンボルトペンギンが描かれている。ところで、横っちょに書かれた「ひびき」って何かな? まあ、いいか。あとで調べるとしよう。

さて、入店してメニューを見ると、3種のランチが用意されている。秘伝みそ唐揚げセットも気になったが、ここまできて唐揚げはないよな。ってことで、東松山名物の「やきとり重セット」(税込1200円)を注文。

一緒にランチドリンク(+税込100円)と、壁に貼ってあったメニューの「極トロレバー」(税込680円)も頼んだ。写真があまりにも美味そうで、つい頼んでしまった。

まず出てきたのはレバー。鮮度の高い鶏レバーで、ほのかにピンク色を帯びている。

ひと切れ口に放り込むと、とろけるような柔らかな食感。「トロ」と呼ぶにふさわしい極上の口溶けで、思わず「生ください!」と言いたくなってしまう。これ1品で、お店の扱う食材の鮮度の高さがうかがえる。

そして出てきたやきとり重。お重にみそ汁・サラダ・漬物・小鉢がついている。

串は、かしら・ねぎま・つくね・なすの4本。

あれ、待てよ。ねぎまもつくねもなすもわかる。かしらってナニのかしらだったっけな?

そうだ、思い出した! みそだれを付けることだけが東松山のやきとりの特徴ではなくて、鶏肉じゃないのが1番の特徴だった。つまりこのかしらとは、豚のかしら(こめかみと頬肉)のことだった!

東松山やきとりの元祖の「やきとり大松屋」の初代店主は朝鮮半島出身。戦後にこの地域に移り住み、1956年に開業したという。

当時の日本では食用としてあまり使われていなかった豚のカシラ肉を串焼きにし、韓国のコチュジャンをイメージして日本の食材で再現したのが、辛味噌だれの元になっているそうだ。

これが美味しいと評判になり、やきとり店が増えるまでに至る。店主がそれらのお店にレシピを伝授したことで、東松山の食文化として定着したそうだ。

実際に食べてみると、肉質はしっかりとしていて噛み応えがあり、鶏肉にはない歯ざわりと旨味がある。そして、辛味の効いたみそだれが美味しさを一層引き立てる。なるほど、これは1本食べたら病みつきになる味だ。

・さいたまやの歴史と果たした役割

ちなみに今回私が訪ねた「さいたまや」は老舗やきとり店とは少々仕組みが異なっており、いわゆる現代版のお店。

一般のお店と同じくメニューを見て「これください」と注文するタイプだが、老舗やきとり店ではオーダーしなくても自動的にかしらがドンドン出てきて、ストップというまで提供が続くそうだ。

「さいたまや」に関してもひとつ補足がある。東松山やきとりを全国区にしたのは「株式会社ひびき」という企業だったが、2019年に民事再生法の適用を申請している。

その後、焼き鳥事業は新会社へ承継され、2022年に「株式会社彩玉家」へ社名変更した。

それゆえに、店前の顔ハメパネルにもお店の食器などにも、今も「ひびき」と記されている。

大松屋の初代店主は、東松山焼鳥組合を立ち上げ初代組合長として地域のビジネス発展に大きく貢献したそうだ。時代は流れて、飲食業界の状況は目まぐるしく移ろいながらも、その系譜は静かに引き継がれている。これからも東松山の食文化として、末永く受け継がれていくことを願っている。

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