断られるはずがない
彼女は昔から、頼みを断らない人でした。最初に渋っても、何度か押せば最後は引き受けてくれると分かっていました。だから連休に実家へ帰ると聞いたとき、部屋が空くとしか考えませんでした。仲間2人に泊まれる場所を確保したと伝えてから、本人へ送ります。
「そっちの部屋、空いてるよね」「花火大会のあと泊まりたいから」「鍵、ポストに入れておいて」
押せば折れるはずだった
返ってきたのは、留守中は貸せないという短い断りでした。予定はもう仲間に伝えてあります。連休料金のホテルに泊まる余裕もありません。
「寝るだけだよ」「ホテル高いし」「前に困ったら頼ってって言ったじゃん」
今までは、これで折れてくれました。ここまで押せば断り切れないだろうと思い、私は続けました。
「あと2人来るから、布団はそのままでいいよ」
