大阪組と非大阪組で分裂しかねない維新
都構想はこれまで、過去2回も住民投票で否決されているが、吉村氏は「絶対に大阪の発展に必要な改革だ」と3回目の挑戦に靜かに闘志を燃やしてきた。
したがって、副首都推進がかなうなら、他の協議については多少目をつぶる可能性がある。逆に大阪以外の議員には関係ない政策テーマのため、「このまま拙速に連立すれば、維新はまたしても大阪組と非大阪組で分裂しかねない」(維新中堅)と嘆く。
分裂すれば、せっかくの数あわせも台無しになってしまうため、今後は維新内の政局にも注目だ。
さらに、大臣ポストも注目だ。高市氏は2閣僚ポストを維新枠に考えている。ベテラン世代の馬場伸幸前代表や民主党政権で国土交通大臣や外務大臣を経験した前原誠司・前共同代表らの名前が挙がる。
藤田共同代表が総務大臣になって副首都など地方自治行政の改革を進めるというプランもあるが、すでに総務大臣は自民の林芳正氏が内々定しているので調整が必要だ。
最も欲しいのは国交省ポスト
ある維新関係者はもっとも欲しいのは国土交通大臣だと断定する。
大阪万博が終わり、跡地利用やその北側の敷地で建設中のカジノを含む統合リゾート(IR)工事など、これからの大阪行政では、膨大な量の建設許可など国交省がらみの許認可があって、「のどから手が出るほど欲しいのは国交大臣ポスト。次が経産省だ」と維新関係者は強調する。
国交大臣ポストは2012年の第二次安倍政権が誕生した際に、公明に譲ったポストだ。公共事業の認可や道路河川などの工事、航空行政など膨大な利権官庁だ。公明の連立離脱によって13年ぶりに自民に戻ってきた。すでに自民では国交大臣経験者が一人もいない。
「一度渡したら二度と戻ってこないポストだ。二度と離さないだろう」(自民ベテラン)
維新は改革を掲げつつ、地元大阪では与党として長年君臨してきた。大臣ポストの奪い合いなどが表面化したら一気に支持率を下げるだろう。
これまで自民党と連立を組んだ政党は創価学会という強固な宗教団体に支えられた公明党以外はすべて滅びた。はたして維新はどちらの道をたどるのか。吉村氏の府知事任期は2年、高市氏の総裁任期も2年だ。その結果は21日以降、そう遠くないうちに分かるかもしれない。
文/長島重治

